2009 Fiscal Year Annual Research Report
後期ディドロの生理学的人間観の研究―『生理学要綱』の間テクスト的読解―
Project/Area Number |
21520338
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
寺田 元一 Nagoya City University, 大学院・人間文化研究科, 教授 (90188681)
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Keywords | ディドロ / 生理学 / ハラー / 啓蒙 / 間テクスト性 / 生気論 / 唯物論 |
Research Abstract |
21年度については研究実施計画にも示したように必要な文献・資料を調えることを第一とした。とりわけハラー『生理学原論』の複写が最大課題だった。しかし、幸いなことに全7巻のうち最初の5巻まではインターネットでGooglebooksからダウンロードできることが判明し、それらを無料でダウンロードしプリントアウトすることができた。残りの2巻についてはアメリカの古本屋がたまたまそれらを端本として安く売り出していることが見つかり、それを購入することができた。その結果、謝金が不要となり、物品費も当初より抑えることができた。そこで、当初は日本にいて注文する予定だった資料につき、手間を省くことも考えパリに出向いて直接当地の本屋や古本屋、国立図書館で現物もしくは複写を手に入れる方針に変更し、2月の後半に出張した。パリでは新本や古本を日本の半額程度で10万円ほど購入することができた。また、国立図書館ではディドロ『生理学要綱』の写本のマイクロフィルムを注文し、それ以外にも、17、8世紀に出た生理学関係著作などいくつかの貴重資料を、許可を得てデジタルカメラに撮るなどして、出張旅費に見合うだけの資料収集の成果を上げることができた。かくして、本研究の目的である『生理学要綱』の間テクスト的読解のために必要な資料はほぼ収拾することができた。 当初はハラー『生理学原論』、ハラー『生理学初歩』の仏訳、ディドロ『生理学要綱』という三著の関係をエクセルに記入する作業を行う予定だったが、ディドロ『生理学要綱』の写本と二つの校訂版(マイエのものとクィンティーリのもの)を比較することしかできなかった。ただ、各校訂版にある原文の起こし誤りを発見し、また編者注に見られる典拠指示の相違などを調べ、それらをエクセルに記入できたので、間テクスト的読解のために必要なテクストの背景的読解を深め、今後の研究の足場を形成できた。
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Research Products
(3 results)