戦後のベルリンと東京における劇場展開-政治的・社会的言説空間のなかの演劇と娯楽

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21520348
• Research Institution: Meiji University
• Principal Investigator: 井戸田 総一郎 Meiji University, 文学部, 教授 (40095576)
• Keywords: 劇場認可 / 劇場立地地図 / 劇場文化政策 / 分断都市 / 占領地区文化政策

Research Abstract

1.Landesarchiv Berlinにおいて1945年から1948年までのベルリンにおける劇場認可の実態について、"Magistrat der Stadt Berlin, Abteilung fur Volksbildung"の資料に基づいて調査した。その結果、戦前までの商業法第32条による劇場認可を復活させていること、その規定によって、例えば1946年1月5日の段階で、ソビエト占領地区で10の劇場、アメリカとイギリス占領地区はそれぞれ8つの劇場、フランス占領地区は4つの劇場、全体で30の劇場認可が確認できた。戦後の非常に早い段階でのこのような劇場認可の活性化はこれまで知られていない事実であり、その後のデータも含めて劇場地図を作製した。
2.ベルリンのArchiv der Akademie der Kunsteにおいて、戦後のベルリンの劇場の再興に関して、"Kammer der Kunstschaffenden"の"Arbeitsausschuss Buhne"の活動、及びこの組織にたいする批判の状況について詳細な資料調査を行った。"Kammer"という概念がナチ時代に由来している点などが批判の焦点になっていることはこれまで知られていない事実である。
3.Landesarchiv BerlinとArchiv der Akademie der Kunsteにおいて、Magistrats der Stadt Berlinの1945年から1950年までの議事録を調査し、委員会構成員の所属政党によって劇場再興についての意見が異なる具体的な実態を分析し、劇場文化政策と政治的イデオロギーの関係、各占領ブロックへの影響を明らかにした。