2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520384
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山口 守 Nihon University, 文理学部, 教授 (70210375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長堀 祐造 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (40208046)
飯塚 容 中央大学, 文学部, 教授 (60151239)
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Keywords | アジア / 中国 / 近代 / 文学 / 受容 / 越境 / モダニティ |
Research Abstract |
本研究は20世紀の中国文学がアジア各地域でどのように受容され、その結果が各地域間でどのように越境・変容していくかを探ることが目的である。2010年11月にアジア各国の研究者を招いて国際シンポジウムを開催する予定なので、初年度に当たる今年はアジア各地域の中国現代文学受容の実態解明という基礎的研究とそのための資料蓄積を目標とした。研究基盤となる東京中国現代文学研究会では、4回の研究発表会を開催し、「魯迅の西洋近代文芸思潮受容」、「周作人と松枝茂夫」、「近20年中国当代詩歌的簡要評介」、「也斯と台湾」、「民国期の詩学課題」をテーマとした発表と討論を行った。小説や詩の分野でアジア現代文学におけるモダニティ形成の問題について、それが地域間のどのような影響・受容関係の中で展開されたかを解明しようとしたものである。研究発表題に見える台湾、香港という視点は、同じく研究基盤となる東京台湾文学研究会の5回の定例研究発表会も加えて、国民文学概念のみに寄りかかった既成の研究を脱構築し、開放的、多面的な視点から相互越境や受容を再考察することの重要性を示している。また国外との研究交流では、2009年4月に山口守と長堀祐造が北京大学で開催された"'五四'與中国現当代文学"国際学術研討会に参加して巴金や魯迅に関する研究発表を行い、中国内外の研究者と討議を行いながら研究交流の方法を探った。また山口は11月に北京大学と復旦大学で開催された国際シンポジウムで、キリスト教伝道から考える近代中国成立過程及び巴金原作の香港映画に見る殖民地アイデンティティとモダニティの問題を取り上げて研究発表を行い、文学ばかりでなく宗教や映画の視点からアジア的近代の問題を考察することの重要性を指摘した。飯塚容は10月、12月に中国杭州、広州において魯迅作品の舞台化や清末民初の演劇に関する研究発表を行い、文学と演劇と繋ぐ回路を示した。
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Research Products
(5 results)