2011 Fiscal Year Annual Research Report
コーパス利用のコロケーション記述の理論と方法に関する通言語的研究
Project/Area Number |
21520393
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 斉 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90162156)
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Keywords | コーパス / コロケーション |
Research Abstract |
前年までの研究成果を踏まえ、英語コーパス言語学に関しては、語彙論、辞書学の分野への応用についての文献研究およびその他の情報収集を継続した。フレイジオロジー、コリゲーション、イディオムなどのコロケーション類似現象に特に注目したが、ドイツ語、ロシア語におけるフレイジオロジー研究の流れとの関連性が当初の予想以上に大きいことが確認できた。エスペラントについては、テキストデータベースの拡大にさらに努め、そのコーパスからのコロケーション情報の抽出の手法および言語教育上で有意義な情報の整理について、引き続いてケーススタディを行い、その成果を随時発表した。日本語については、国立国語研究所による現代日本語書き言葉均衡コーパスが完成したことから、その標準的な検索システムである少納言および中納言を利用したコロケーションの抽出方法について検討を行い、正規表現の一定程度の有用性が確認できた。 これらの結果、コロケーション類似現象は統語的に密接な関係にある内容語同士の場合を典型としつつも、その周辺部においては、それぞれの言語における語の形態論的性質に依存して、多様な広がりをみせていて、コーパスからのコロケーションの抽出にあたっては、このことを十分に考慮すべきであるとの結論にいたった。また、統計的な調査に加えて、言語体系および運用上の位置づけと文化的な意味づけを考慮すべきであることも確認された。これらの観察はコーパスを言語教育および辞書編集に利用する際において念頭に置かれるべきことである。
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