2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520405
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
須賀 あゆみ 奈良女子大学, 文学部, 准教授 (50283924)
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Keywords | 言語学 / 会話分析 / 指示 / 相互行為 / 日本語 / ストーリー・テリング / 語り / 談話 |
Research Abstract |
本研究は「指示(reference)」を社会的行為とみなす立場から、 I会話において話し手は聞き手との間でどのように指示対象の認識を確立するか II指示を確立することによってどのような活動が成し遂げられるか、を考察することを目的とし、日本語による日常会話のストーリー・テリング場面で行われる人物指示(person reference)の事例について、 (1)相互行為を通してどのように指示対象の認識が確立されるのか、 (2)指示を確立することがストーリー・テリング活動の達成にどのような影響を与えるか、という観点から分析を行うものである。 本年度は(2)に関して以下の<分析>と<考察>を行った。 <分析>ストーリーに指示対象を導入する時、また、一度導入された対象を再度指示する時に、 1.どのような言語表現形式やフォーマットが用いられているか 2.その表現形式は相互行為上どのような役割を担っているか 3.会話参与者の非言語行動にみられる特徴は何か <考察>指示を確立することがストーリーを語るという主活動にどのように寄与しているか 本研究の成果はつぎのようにまとめられる。 ・描写形式による指示は、対象人物のカテゴリーを認識させる点で受け手のストーリーの理解に貢献する。 ・話し手の指示表現の提示に連動して生じる受け手のうなずきや視線合わせは、語りを進めるリソースになっている。 ・特にストーリーの核心部分を語る前に、綿密な指示交渉が行われ、受け手が指示対象を十分認識できたと判断したとき、語りが進行する。会話活動を達成するために指示を確立することに志向していることがわかる。 ・同一指示対象を新たな指示表現形式で再度指示することは、語りの視点の変化や活動の構造変化を示すという点でストーリー・テリング活動の達成に貢献する。
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Research Products
(2 results)