2011 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語テキスト及び文における語彙出現予測分析とその和独辞典・教材への応用
Project/Area Number |
21520436
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
井口 靖 三重大学, 人文学部, 教授 (90151638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒川 元行 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (70197747)
成田 克史 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (40128202)
黒田 廉 富山大学, 人文学部, 准教授 (00313578)
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Keywords | 連想 / コロケーション / 語彙 / 予測 / 分野別 / コーパス / 程度副詞 / 和独辞典 |
Research Abstract |
テキストや文に現れた語彙は連想に基づくネットワークを作っていると仮定し、本研究をイティオムや狭い意味でのコロケーションとは異なる「連想コロケーション」の探求と位置付けて調査を続行した。 1自動車関連の分野別コーパスをさらに拡大させ、200万語を目指している。この分野で特有の語彙を取り出し、分野別語彙表を作成した。その語彙をドイツ語研究所(IDS)のコーパスを用いて検索し、これを自動車関連分野別コーパスに現われる意味と比較した。自動車関連分野別コーパスにおいては、意味はきわめて限定されており、それが語彙出現予測に役だっていると考えられる。 2ドイツ語の程度副詞と比較級の結びつきを大規模コーパスを用いて調査した。比較級に用いられる程度副詞は限られているが、比較級の場合には程度副詞と形容詞の組み合わせに関して、原級ほど特徴的なものは見られなかった。これは形容詞の意味ではなく、比較級そのものを修飾しているためと思われる。これは「連想コロケーション」の存在を示唆している。 3beginnenの各用法と特定の副詞との共起を、IDSコーパスからの事例に基づき検証した。その結果、beginnenの特定の用法と特定の副詞との間に一定の共起傾向が認められた。 4基本語彙リストTschirner(2008)と恒川(2008)の語彙調査結果との比較を通して、樺島(1981)の日本語名詞についての指摘をドイツ語名詞についても確認した。名詞語彙は基本語彙リストとの重なりが低く、文脈予測を可能にすると考えられる特定分野語彙の多くが名詞語彙であることが判明した。 5これまでの調査に基づき、和独辞典の編集と執筆を行い、『アクセス和独辞典』を刊行するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最終的にはこの研究の成果を和独辞典や教材に反映することとしていたので、本プロジェクトの3名が編集執筆者となる和独辞典を今年度刊行できたことは当初の計画以上の成果である。そこには質量ともこれまでの和独辞典をはるかに超える句例、文例が収められている。ただし、分野別語彙集の作成はまだ一部に留まり、「連想コロケーション」の存在もまだ実証するには至っていないので、今後これらの研究を進めつつ、和独辞典の改訂も行う。
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Strategy for Future Research Activity |
1分野別コーパスの充実:自動車関連コーパスのさらなる拡大を目指すとともに、他分野の分野別コーパスも構築する。 2理論的考察:これまでの調査を基に、「連想コロケーション」の理論的構築を図る。 3応用:和独辞典は書籍及び電子辞書版を作成したが、実際の調査に基づき、特にコロケーションの面から改訂に取り掛かる。その際、書籍と電子辞書のそれぞれの特性を活かした和独の在り方を検討する。今回の研究に基づいた教材のプランを練る。その際、和独辞典との連携についても検討する。 4報告書作成:これまでの調査とその応用及び残された問題について整理し、報告書を作成することによって、今後の見通しを立てる。'
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Research Products
(7 results)