2012 Fiscal Year Annual Research Report
北奥羽方言におけるアイヌ語アクセント型の残存の蓋然性についての実証的研究
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21520443
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
板橋 義三 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (50212981)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 北奥羽方言のアクセント体系 / アイヌ語のアクセント体系 / 方言アクセント方の変化 / 基層 / 危機に瀕した方言 |
Research Abstract |
本年度は青森県太平洋沿海方言に関する詳細な語彙、アクセントの調査を行った。協力者への依頼のため教育委員会を通じてその地域の区長等からの協力者の依頼をお願いする段階で、区長等からの協力が得られなかったため、予定とは異なり、1か所減り2か所の各地域3名となり、合計6名の協力者から了承を得た後、調査を始めた。 調査地域と期間については以下のように各年度2か所ずつで行った。 調査地域:上北郡六ヶ所村泊地区 調査期間:平成24年9月10日~11日 調査地域:三沢市塩釜地区 調査期間:平成24年9月12日~13日 従来、この地域は多くのアイヌ人が住んでいた地域であるため、このあたりの方言はアイヌ語の影響が残存している可能性が大きいと見られるが、このあたりの方言の記録は部分的にはあるものの、非常に少ないため、今回の調査により得られたデータは大変貴重なものとなっている。また、今回の調査ではアイヌ語のアクセント型の変化、またはその影響力の分布も見えてくる可能性がある。 調査した語彙リストの基礎語彙は1拍語から5拍語まで200項目程度(名詞、動詞、形容詞とそれぞれの品詞の単独形と接続形)のアクセントだけに焦点をあわせ、高感度マイクで収録した。次に語彙項目を発音してもらった後に、対話や面談を行い、同様に高感度マイクで録音し、文レベルに渡り調査した。今回、4日間に渡ってアクセント、談話の細部まで収録、録音した。現段階ではこの基礎語彙200語と自由談話の分析を行っており、まだ十分な結果が出ていないが、アイヌ語のアクセントの影響がこの地域の方言にはみられず、その分布が明確になると考えられる。その成果は最終的に調査した孤立した語と文中のアクセント型の分析結果を来年度の著書の一部としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度と昨年度の予定を変え、協力者を増員したため、結果的に今年度の協力者数が3名減ったが、全体として人数を満たしているので、調査それ自体には影響はほとんどない。また、実際にその六名の協力者にはきちんと調査をし、その結果と分析が予定通り終了している。 来年度の最終的な著書刊行の予備段階としてまとめ、来年度への移行が円滑に進められるようにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定としては今年度の24年度と来年度の25年度で著書として著わす章立て等を具体的にまとめ、その章立てに従って内容をまとめている。 実際のフィールド調査における問題点は協力者が高齢であるため、予定した調査日に病気になるなどして、調査ができなくなったりすることがあり、前回も1件あったし、また今回のように協力を阻止されるということも起こり、調査に影響がでた。これが最も大きな障害である。これに対処する有効な方法はなく、しいていうなら、前回のように、計画時点から多めに協力者をその地域の教育委員会に依頼しておくことぐらいである。しかし、これにも限度がある。それは本調査では協力者が80代という条件があり、非常に高齢であるため、協力者の人数が少ない上に、協力してもらえる健康な高齢者がさらに少なくなることである。そのような条件を満たす高齢者を依頼すること自体が非常にむずかしく、また本調査の学問的意義や社会的意義が理解されず、拒否され、その地域の区長が何度も協力者を変更したり、その人数を減らしたりしてきた経緯がある。 最終年度の25年度にもフィールド調査をする予定にしていたが、実際には著書として刊行することになっているため、25年度分を24年度までに調査し終えるように、予定を変更している。
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