2011 Fiscal Year Annual Research Report
新聞報道における情報構築の視点‐批判的談話分析から見た日韓文化交流
Project/Area Number |
21520451
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金 慶珠 東海大学, 教養学部, 准教授 (60349420)
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Keywords | 日韓文化交流 / 批判的談話分析 / 新聞報道 / 視点 / 文化ナショナリズム |
Research Abstract |
本研究は、「日本と韓国の文化交流」を伝える両国の新聞記事を批判的談話分析(CDA:Critical Discourse Analysis)の観点から比較対照することにより、メディアに表象される日韓相互認識の在り方を具体化させるとともに、報道テクストの情報構築における「視点の機能と構造」を明らかにすることを研究の目的としている。具体的には、1998年の韓国政府による日本大衆文化の開放(自由化)から今日に至るまでの日韓間の文化交流に関連する「両国新聞の報道記事・社説(論説)・コラム」を分析の資料としながら、両国メディアの相手国文化に対する認識がどのような「言語的手段」および「社会的イデオロギー」を通じて発信されてきたのかを「情報構築における視点の設定法」に基づいて比較対照した。また今年度は、日本の新聞報道における情報の構築という観点から、新聞各社による世論調査の動向を具体的に考察するための補助的研究として、政党および内閣支持率に関する分析を合わせて行った。これらの計量的分析の結果、日本の新聞報道における韓流関連記事の掲載数は、実際の文化交流の指標となる産業レベルでの韓流の活性化とは連動せず、むしろ日韓の政治レベルでの葛藤や国民感情の対立のような「文化ナショナリズム」の視点に連動していることが明らかになった。また、新聞社別の韓流に対する視点を具体化するため、記事のジャンル別分類を行い検討した。その結果、新聞社の視点が最も顕著に反映される「意見提示型」記事の割合は全体的に最も低く、その意見提示においても社説などよりも間接的な「読者の声」や「寄稿・インタビュー」の割合が高くなっていた。さらに、こうした意見提示は両国の政治・社会レベルでの葛藤が高まるほど間接的に現れる傾向が共通点として見出された。
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Research Products
(2 results)