2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520470
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
工藤 真由美 Osaka University, 文学研究科, 教授 (30186415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山東 功 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (10326241)
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Keywords | 言語接触論 / 日系移民 / ウチナーヤマトゥグチ / ボリビア / オキナワ移住地 / アスペクト / 可能形式 / 否定形式 |
Research Abstract |
ボリビアにおける日本人移民社会は、主として琉球政府による募集を淵源とする沖縄系移民社会と、日本政府による募集を淵源とする日系移民社会が、いわば対比される形で成立とてきたという、極めて興味深い移民社会形成史を有している。しかしながら、そういった移民社会の特質をふまえた日系・沖縄系移民社会におげる日本語、さらにはスペイン語との言語接触といった言語のあり方について国内で言及された研究は皆無に等しい。本研究は、ボリビア日系移民社会言語の実態を把握すべく、先に実施された、言語生活項目を主とした言語接触調査の分析を行うことで、単一的な日本語観に対峙する言語事実の実証を試みた。具体的には、南米ボリビアのオキナワ移住地における沖縄系移民のコミュニティを対象とし、日本語、沖縄方言、スペイン語による言語接触のありかたに関する記述を行った。オキナワ移住地は戦後の集団移民から成る農村型のコミュニティであり、1世紀は主に日本語と沖縄方言が使用されているが、2世紀以下では日本語とスペイン語の併用へと使用コードが変化している。また、このうち世代を問ねず使われている「日本語」だが、アスペクトとシヨッタ形式、可能形式、否定形式、「説明」のモダリティに関わる形式、シテカラ形式といった諸点において、移住地の「日本語」には標準的な「日本語」には見られないような特徴が見られた。これらのことから、移住地の日本語が現在の沖縄のウチナーヤマトゥグチに似た特徴を示す場合があることが、本研究によって示された。また付随して、日本国内における言語接触研究に関する文献を、主として沖縄社会との関係において立体的把握すべく諸関連領域に拡充させながら、沖縄をはじめ日本国内の主要大学、研究所等の協力を得つつ調査収集を行うとともに、ボリビアにおける言語接触研究文献について、南米における移民研究拠点の一つであるサンパウロ大学、ブラジル連邦共和国内のサンパウロ人文科学研究所等の協力を得つつ調査収集を行った。
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Research Products
(4 results)