2010 Fiscal Year Annual Research Report
宮崎県の方言動態および方言使用と話者心理に関する研究
Project/Area Number |
21520474
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
早野 慎吾 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (90381053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 敬一 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 准教授 (10305401)
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Keywords | 宮崎方言 / 言語動態 / 社会心理言語学 / 志向性 / アスペクト |
Research Abstract |
宮崎県方言は、先学の貴重な研究はあるものの、他県と比べると研究報告は非常に少ない。それでも九州全域で170地点(宮崎県で22地点)について調査した九州方言学会編(1967)『九州方言の基礎的研究』、国立国語研究所編(1989-2006)『方言文法全国地図』などにより、概観できるようになった。しかし、各県ではかなり詳しい言語地図等が作成されているのが現状である。また世代差等の言語動態に関する調査は、中学生とその保護者を対象に30項目調査した加藤正信他編(2003)『宮崎県方言における地域差・世代差』もあるが、通信調査という性質と項目数および話者数の少なさから、十分な成果を得られたとはいえない。 本研究は、宮崎県内で約70地点、200項目を対象とした、宮崎県でもっとも大規模な地域差調査といえる。本調査では、ほぼ全域が無アクセント域といわれていた地域に東京式アクセント域があることや、過去の報告で区別がないといわれたアスペクトによる「ヨル」「チョル」の区別も確認できた。宮崎市・延岡市・都城市の多人数調査は、宮崎県で初めての大規模な言語動態調査と言える。各都市で約130名行っているが、この世代差調査と地域差調査を合わせて分析することで宮崎方言の実態が見えてくる。 世代差調査には志向性項目等も含まれており、同じ地域で使用されるバリエーションが、どのような志向性と結びつくかという最新の研究分野の報告も行う。宮崎方言の研究だけでなく、社会言語学的にも重要な研究と言える。
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