2010 Fiscal Year Annual Research Report
日英語談話における、統語・情報・韻律構造の比較研究
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21520511
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
熊谷 吉治 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (20242745)
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Keywords | 談話分析 / 語用論 / 日英語比較 / 情報構造 / 音調単位 / Preferred Argument Structure / 能格性 / 動詞意味論 |
Research Abstract |
異なる話有か同一の経験(同一の映画を見て、その内容を思い出す経験)を言語化した場合、被験者間でどのような形式上の変異が見られるのか。形式上の変異は、言語構造や情報構造、話者の個人差、性差および言語差とどう関連しているのか。また、時代によって変異パターンと他の要因との相関に変化は起きないのか。本研究は以上の課題に取り組んでいる。 21年度に引き続き22年度も、Pear Filmという無声映画のあらすじを語った、アメリカ人女性話者20人の録音資料を元に事実調査を行い、成果を英語論文にして発表した。具体的には、同一の話者があらすじを言語化する際に見られる時制の選択の変異を調査した。その結果、20人の母語話者のうち13人(65%)はほぼ一貫して現在形を用いて過去の経験を語っていたが、5人(25%)に関しては「過去形→現在形→過去形」のように、時制が談話の途中で何度か変更されていたことがわかった。 どのような動機で時制の交替が起きるのかを解明するためには、様々な言語内的要因および言語外的要因を考慮する必要があるが、今回は、言語表現の要素間で時間的関係が比較的明瞭に表現される制限用法の関係詞節に焦点を絞り、その中で時間的前後関係を乗り越えてまで時制の変異が起きているかどうかを調べた。その結果、関係節内では時間的前後関係の明示が優先されていることがわかった。23年度は、このような傾向が男女差や日英語差と関連しないか調査を継続していくことにする。
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Research Products
(1 results)