2012 Fiscal Year Annual Research Report
日英語談話における、統語・情報・韻律構造の比較研究
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21520511
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
熊谷 吉治 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (20242745)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 談話分析 / ナラティブ分析 / 語用論 / 情報構造 / 日英語比較 / 関係詞節 |
Research Abstract |
研究成果は二つある。まず、英語会話に現れる関係詞節をテーマとした代表的な先行研究を批判的に検討した上で、これまで余り注視されていなかった重要な特徴を指摘し、成果を英語論文で公表した。 英語の会話に現れる関係詞節には、他の文体にない顕著な特徴がある。とりわけ、目的格の関係詞節が現れやすい。一方、様々な難易度レベルの書き言葉や、映画のあらすじを語ったナラティブでは主格の関係詞節が多用される。ところで会話では、他の文体に比べて話し手(I)と聞き手(You)が関係詞節内に現れやすい。これらの発話行為参加者は、関係詞節内の主語になって先行詞の指示内容を安定化させる機能を果たす傾向が強い。このような語用論的特徴が、会話における目的格関係詞節の頻度に関連していることを実証した。今後は会話の分析をさらに増やしつつ日本語との対照研究も行い、日英語の談話構造の特徴を検証していく。 もう一つの成果は、日本語談話における新情報名詞句の導入の方法を詳しく分析し、英語におけるプロセスとの違いを明確にし、英語論文で公表したことである。談話に初めて導入される人や物などは、通常は名詞句として言語記号化され、項位置(主語、目的語など)に配置される。ただし、記号化の難易度によっては、指示内容を詳しく述べるために、項以外の位置で導入したり、不完全な名詞句で導入したりするなど、通常とは異なる方法がとられることもある。 英語においては、記号化が困難な新奇な物体や、逆に記号化する手段が複数存在するような事物を導入する場合に、通常と異なる新情報の導入方法が用いられやすい。ところが日本語ではこのような一貫した傾向が見いだせなかった。日英語とも、同じタスクに基づいて被験者が発話を行った言語資料であるが、異なる言語使用の過程が見い出された。このような差異をどのように説明していくか、今後綿密に検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)