2011 Fiscal Year Annual Research Report
中上級日本語学習者のモニタリングの基準の意識化と内在化を目指した教室活動の開発
Project/Area Number |
21520535
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
衣川 隆生 名古屋大学, 留学生センター, 准教授 (30282289)
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Keywords | 協働学習 / メタ認知 / 口頭発表 / アカデミック日本語 / 構成主義 / 内的説得力 |
Research Abstract |
本研究は、中上級レベルの日本語学習者の口頭発表技能に関わるメタ認知能力、特に進行モニタリング能力を育成することを目標としてデザインされた教室活動の効果、妥当性を検証することを目的としている。平成23年度においては、平成21年度、平成22年度に確立された授業実践の方法論に基づき、コース運営を行い、それを通して、受講者の到達目標、受講動機、言語産出に関わるメタ認知知識の表象を収集した。コースでは学習者が他者との対話を通して到達目標となる「口頭発表の評価基準」を作成し、口頭発表を行う際には、評価基準を意識しながら発表者も聞き手も実践状況をモニターし、相互に評価しあう活動を行う。本稿ではまず客観主義的教育観と構成主義的教育観を比較しながら本実践の理論的背景を概説し、その上でコース運営と分析方法を解説する。分析においては、学習者がどのように評価基準に記述された概念の理解を深めていくかを明らかにするため、評価基準作成の協働活動、発表時の相互評価において、学習者がどのような「ことば」で「口頭発表の評価基準」について対話を行っているか、そして、その「ことば」がどのように変容していくのかを分析した。その結果、モニタリングの視点を固定することによって、従来意識化を促すことが難しかった基準に対する気づきが促進され、口頭発表を繰り返すことでこれらの基準が徐々に精緻化されることが明らかとなった。さらに、準備段階では辞書的・宣言的な概念であった基準や行動目標が、発表、モニター、評価を協働で行うことによって徐々に精緻化、具体化、体制化されていく概念があることが示された。
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Research Products
(2 results)