2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520589
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
平川 要 Kyushu Dental College, 歯学部, 教授 (90118092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島浦 一博 九州国際大学, 経済学部, 教授 (60196467)
中島 邦雄 独立行政法人水産大学校, 水産流通経営学科, 教授 (00416455)
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Keywords | 全文否定 / 部分否定 / 二重否定 / 修辞的否定表現 / 比較言語学 |
Research Abstract |
まず、はじめにドイツ語の否定表現を統語論的な視点から整理した。とくに日本人学習者にとって理解が困難な、全文否定と部分否定の使い分けについて、ネイティブスピーカーの協力のもとに、実際の場面を想定したドイツ語表現を検証した。これによって否定の不変化詞nichtの位置の問題や、機能動詞、様態の副詞等を含む文成分の否定の問題について、整理することができた。 次に、日本語との発想や表現の違いを中心に、ドイツ語の否定表現の特徴を研究した。日本語とドイツ語の違いについては、(1)高文脈言語と低文脈言語、(2)待遇表現と中立的な表現、(3)情意性と論理性、(4)否定と肯定による主張、に整理し、そもそも日本語とドイツ語の否定の意味や使い方の違いを、実際の会話表現に即して検証した。一例として、ドイツ語接続法の婉曲表現と日本語の敬語表現との相違が挙げられる。日本語では、自分と相手との関係から曖昧な表現や否定表現が好んで使われるのに対して、ドイツ語では、相手との関係というよりは、自分の意見をどの程度アピールしたいかによって、直接法、節読法I、IIの様々な表現が駆使される。このように両語の発想には根本的な相違があり、日本人学習者はまず、このことを理解しなければならない(これまでのドイツ語学習書は、この点を無視し、ドイツ語の文法解説のみを述べている)。 以上のように両語の否定表現を比較検証することによって、日本人学習者には分かりにくい、ドイツ語の基本的な発想:すなわち、(1)曖昧な表現は避け、明確に自己を主張、(2)その場の条件や状況に応じた明確で厳密な表現、を整理することができた。なお本年度の研究成果は、日本独文学会西日本支部学会で発表した。
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