2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520664
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
箱石 大 The University of Tokyo, 史料編纂所, 准教授 (60251477)
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Keywords | 日本史 / 情報史 / 明治維新 / 戊辰戦争 |
Research Abstract |
本研究は、戊辰戦争期に維新政府が行なった情報・宣伝活動に関する史料を収集して、これに政治史的観点から分析を加えることを目的としている。本年度の研究成果は以下の通りである。 1.諸藩に対する情報・宣伝活動関係史料の収集と分析 金沢市立玉川図書館近世史料館所蔵の加越能文庫を調査し、維新政府が創出した政治情報伝達制度である諸藩触頭制の下で触頭となった加賀藩の関係史料を閲覧・撮影した。そのうち、加賀藩の公議人らによって作成された「御書付等留」という史料が、明治元年11~12月の触頭としての活動を示す重要な史料であることを確認した。 2.民衆に対する情報・宣伝活動関係史料の収集と分析 京都大学附属図書館所蔵の維新特別資料文庫(尊攘堂旧蔵資料)におけるトコトンヤレ節関係史料を調査した。その結果、品川弥二郎が新政府軍の宣伝のために作成・配布したトコトンヤレ節の歌詞摺物(墨摺版)の版木が現存していることを確認した。摺物自体は各種伝存するが、版木の存在は現在ほとんど知られておらず貴重である。 3.外国人に対する情報・宣伝活動関係史料の収集と分析 戊辰戦争期の維新政府が情報・宣伝戦的にも対応を迫られたシュネル兄弟及び駐日プロイセン代理公使フォン・ブラント関係の欧米各国所在史料を収集・分析した。シュネル兄弟関係史料については、研究協力者に依頼して解読・翻訳を進めた結果、従来まったく不明であったシュネル兄弟の家族構成、両親の出身地とその経歴、来日以前における兄弟の経歴などが判明した。ブラント関係史料については、海外研究協力者の助力を得てドイツ・フライブルクの軍事文書館所蔵文書を調査し、奥羽越列藩同盟との秘密交渉に関する文書を収集して解読・翻訳を行なった。
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Research Products
(3 results)