2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520687
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
井川 克彦 Japan Women's University, 文学部, 教授 (50243803)
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Keywords | 日本史 / 経済史 / 長野県 / 生糸 / 養蚕 |
Research Abstract |
幕末・維新期の信濃北部の生糸流通の実態解明を目的として、本年度は残存史料の把握とその収集・データベース化を主として行った。具体的には以下のようなものである。 1、成沢伍一郎家史料の収集。江戸後期の為替手形約250通を撮影しエクセル化した。とりあえず判明するのは城下町大呉服商の同家らを拠点として上州各地や小諸などとの間で為替手形が活発に利用されていたこと、その一部は領主財政と絡むものだったことである。また上塩尻などの蚕種業興隆に対して、城下町商人が桑畑開発を行い在の農民へ桑葉を販売していたことに関わる経営史料を収集した。比較的早い時期の藩統制策として重要なものと推測される。 2、原町問屋滝沢家日記の収集。嘉永~明治2年分を収集した。江戸後期を対象として同日記の中から生産・流通状況、藩政策の特徴、城下町上田と周辺農村との関係を把握するべく作業継続中。上田藩会所が実施した織物・生糸の改め量が(毎年とまではいかないが)判明する。また日記記述から上田城下町に対抗する幕領長瀬村の生糸市の成長が確認でき、上田商人も長瀬周辺の生糸生産と同地生糸商人の活動に依拠した様子がうかがわれる。なお戦前『上田市誌』編集の際に作成した「原町問屋日記抜書」の存在を確認した。 3、近代に関わる史料として周辺地域(近年の大合併でほとんど市域になった地域)には旧役場史料が多く伝存しているが、歴史史料として保存・閲覧できる体制にはほとんどなっていない。この点についての状況把握も引き続き行う予定である。
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Research Products
(1 results)