2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520751
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
渡邊 伸 Kyoto Prefectural University, 文学部, 教授 (70202413)
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Keywords | ドイツ史 / 宗教改革史 / 西洋史 / コミュニケーション |
Research Abstract |
2009年9月の在外調査により、プロテスタント側の公会議論について、その同盟としての公式な見解を1533年にシュパラティンが作成した文書(バイエルン州立ミュンヘン図書館蔵)から確認した。 また1534年教皇パウロ3世選出による皇帝カール5世の新たな全体公会議招集計画とその公会議論について、カール5世の書簡集と自伝を入手して見解の変化の有無を目下検討中である。 これに対するプロテスタント側の立場をメランヒトンの史料集に見いだした1536年の公会議招集勅書に対する文書から確認した。基本的な見解は、シュパラティンのまとめた見解を逸脱していないが、交渉の余地を示す点が注目される。 ドイツ内外の政治情勢からカール5世は1539年、公会議招集を断念し、代替の信仰討論による打開をはかった。これにより1540年ハーゲナウで予備交渉が始まり、11月にウォルムスで本交渉開始、翌年早々にレーゲンスブールクに場所を移し、4月開催の同帝国議会に討議は継承された。 この帝国議会開催までの交渉経過について、Neuserの史料集を入手し、現在検討中である。最終的に決裂に終わった討議であるが、現時点で確認できた特色として、次の点をあげられる。 すなわち、双方は対立を避けるため直接討議をせず、取次交渉役の諸侯を通じて文書で意見交換をしていたこと、このためこの交渉役の自派への取り込みに双方が力を入れたことである。これは単に多数派工作ではなく、帝国レベルでの討議を意識していることが注目される。 ただし、具体的方法は秘密交渉によったと考えられ、史料では目下確認できていない。この点は次年度以降の課題である。
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Research Products
(1 results)