2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520751
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
渡邊 伸 京都府立大学, 文学部, 教授 (70202413)
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Keywords | 西洋史 / ドイツ史 / 宗教改革史 / 帝国議会 / 公会議 |
Research Abstract |
1.昨年度までの考察において、帝国議会での討議と新旧両派の動向を調査し、公会議論が、宗教改革期当初の猶与策としての位置づけから、1530年を境に新旧両派の勢力拡大策の役割を付与されたことを明らかにし、さらに40年前後の信仰討論においては、国民教会化の方途としても議論されたことが認められた。 2.23年度は、計画通り、1540年代前半の帝国議会を中心とする公会議問題について考察した。 3.具体的には、ウィーン大学図書館、オーストリア国立公文書館、ドレスデン・ザクセン州立公文書館において史料の調査・収集を行い、それに基づいて、1542年~45年の帝国議会を中心とする信仰問題討議の検討を行った。 4.その結果、1542~44年の帝国議会における、皇帝による教会改革に関する非公式見解の文面を確認し、帝国議会では公会議問題が帝国の「法と平和」維持の問題と関連づけて議論されたこと、また、その法的意義について、従来のプロテスタント側の成果とする評価に対し、カトリック側の意向反映を再評価すべきとの見通しを得た。また1545年の帝国議会においては、対オスマン、フランス戦問題が中心となったため、公会議問題は前年度の再主張を超える進展を見なかったことも確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本計画では、ドイツ宗教改革期の帝国議会を主たる考察対象として、時期ごとに検討を進める計画を立てている。前記のように、昨年度までに1540年代までの検討を進めることができていることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
1本年度は当初の計画にしたがい、1550年代前半の時期を考察対象とし、予定通り本研究のまとめを行う。 2当初の計画立案にあたって、この課題の研究意義として、1550年代後半の公会議問題も重要であることをあげたが、これまでの史料収集から得られた見通しとして、これは今後継続して扱う研究課題とする予定である。
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Research Products
(1 results)