2011 Fiscal Year Annual Research Report
登呂遺跡を活用した日本列島初期農耕文化の復元的研究
Project/Area Number |
21520770
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
篠原 和大 静岡大学, 人文学部, 准教授 (30262067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 道彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (50228962)
小松 かおり 静岡大学, 人文学部, 准教授 (30334949)
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Keywords | 登呂遺跡 / 初期農耕文化 / 実験考古学 / 作物学 / 生態人類学 / 水田耕作 / 復元実験 / 弥生時代 |
Research Abstract |
本研究では、弥生農耕集落の具体像を示す登呂遺跡をモデルの中心に据え、復元水田や遺跡全体の環境を活用しながら、農耕を中心とする生業を具体的に復元・検討することを目的として研究を進めた。 今年度は、引き続き、(1)前年度復元水田実験の検討結果をもとに、登呂遺跡復元水田での小区画畦畔を用いた栽培実験を実施した。昨年度は夏場の猛暑などの影響が考えられたが、今年度は比較的平均的な気候環境が保たれた。これらの収穫物について記録、分析した。(2)登呂モデルの農耕形成段階の比較資料として重要な畠作遺構を検出した静岡市手越向山遺跡の分析をまとめ報告書を刊行した。この成果は、登呂モデルの中の「丸子段階」の具体的検討材料となった。(3)土器に残された農耕生産物情報の検出方法として注目されるレプリカ・セム法を静岡清水平野の弥生土器資料について実施し、各時期に一定の成果を得た。(4)これらの成果に基づき、水田および諸生業複合の実態について多角的に検討し、「丸子段階」→「有東段階」→登呂段階」をそれぞれ検討しながら「登呂モデル」の構築をはかった。 一方、実験・研究に必要な図書、物品を購入したほか、四国方面の視察や農耕に関する研究会への参加、資料収集やSEMによる分析のため等の出張をおこなった。 3年間にわたる水稲耕作実験を実施し、基礎的なデータを収集しえた。また、それらの過程で様々な視点や課題が生じた。詳細は報告書に譲るが、実際に栽培実験を行うことによってしか得られない内容が多く含まれており、その意義は大きい。また、登呂遺跡で具体的な農耕集落像を検証する一方で、それと比較しながら、主に静岡清水平野の農耕形成から登呂の段階に至る過程を「丸子段階」→「有東段階」→「登呂段階」として追究し、静岡清水平野の農耕形成としての「登呂モデル」をより立体化することができた。これらの研究を基礎に、さらに「復元」や「比較」といった視点から研究を進めていきたい。
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Research Products
(7 results)