2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国におけるイネの栽培化と農耕社会の形成過程-考古学と遺伝学の学際的研究-
Project/Area Number |
21520780
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
細谷 葵 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, プロジェクト研究員 (40455233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋一郎 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (20145113)
槙林 啓介 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト上級研究員 (50403621)
田中 克典 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト上級研究員 (00450213)
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Keywords | 考古学 / 遺伝学 / 中国 / 新石器時代 / 栽培化 / 稲作社会 / 学際研究 / イネ遺存体DNA |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国初期稲作期において、イネの栽培化と農耕社会の形成過程の関係はどのようなものであったか、考古学と遺伝学の共同研究により実証的な検討を行うことである。イネの栽培化の様相については、これまで人工遺物を扱う考古学と植物考古学の分野でそれぞれ研究が進められ、近年はさらに、遺伝学分野からの栽培イネの系統に関する研究の発展も著しい。しかし、これらの分野間の学際的意見交流は十分に行われてこなかった。本研究は上記3分野の研究者が共同し、中国初期稲作期研究について真に学際的な議論を展開させていこうとする画期的な試みである。 研究第一年次である平成21年度は、まず中国初期稲作期研究の現状を明らかにし、考古学・遺伝学の間での問題意識を共有すべく、総合地球環境学研究所において関連シンポジウムを開催した(同研究所・佐藤プロジェクトと共催、2009年8月30日~31日開催、担当・細谷、佐藤)。さらに、このシンポジウムを基盤とした論文集を編集した(Journal of Archaeological and Anthropological Sciences特別号、2010年6月出版予定、担当・細谷、佐藤)。加えて、考古学と遺伝学の両分野において、平成22年度以降の研究活動のための基盤作りを行った。考古学については、稲作の起源とともにその南方への伝播の様相から稲作社会の成立過程を考察すべく華南に重点を置き、香港での学会参加や広東省文物考古研究所訪問を通して、資料収集の基盤を作った(担当・槙林)。また、欧米での中国初期稲作期研究の現状を把握すべく、ロンドン大学、ハーバード大学を訪問、関連研究者と意見交換を行った(他研究費による、担当・細谷)。遺伝学においては、中国漢代およびインド先史時代のイネ遺存体のDNA分析を行い、遺存体のDNA分析が可能であることを証明するとともに、分析のためのマーカーを作成した(担当・田中)。
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Research Products
(12 results)