2010 Fiscal Year Annual Research Report
集落の限界化と「むらおさめ」に関する人文地理学的研究
Project/Area Number |
21520793
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
作野 広和 島根大学, 教育学部, 准教授 (50284146)
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Keywords | 人文地理学 / 農村 / 限界集落 / むらおさめ / 地域管理 |
Research Abstract |
本研究では集落機能の維持・向上及び国土資源管理的な視点を基軸として,集落の限界化過程を明らかにした上で,最終的に集落が消滅していくメカニズムを解明することを目的にしている。同時に,限界集落化がもたらす影響として地域管理手法の変化に注目し,集落機能が消滅した際に集落の終末を見据えた「むらおめ」のあり方について検討することを最終的な目標と定めている。 平成22年度は集落が管理する農地・森林の管理実態を調査し,集落の消滅や限界化がもたらす国土管理上の影響評価を行うとともに,農地・森林等を地域内外の人・組織が協働管理することの可能性とそのプロセスを明らかにした。また,関連して限界集落化が水資源涵養機能や洪水防止機能等に与える影響評価と対策を明らかにした。 具体的には,平成21年度において「集落の限界化過程」における類型ごとに,複数の集落を事例対象とし,現地踏査と聞き取り調査を実施した。それにより,限界集落における農地・森林管理実態を把握し,所有・管理形態等を指標として分類し,問題を整理し抽出した。この結果に基づき,地域住民が共同で管理することの重要性と地域内の住民が地域外からの協力者と協働することの必要性・可能性及びその実現のための条件を明らかにした。 さらに,消滅が危惧される集落や,消滅した集落においても地域管理のあり方について理論的な検討も行った。 その結果,集落が消滅した後も,元居住者の通いによる耕作の実態があることが明らかになった。また,元居住者に限らず,当該集落に農地や山林を所有している住民が通ってきて管理している実態が認められた。そのため,集落の居住者は不在であっても,集落は存続し続けているという実態が確認され,今後のインフラ維持や集落の再編成等を行う際に,これら無住化集落の存在が無視できないことが明らかになった。
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Research Products
(6 results)