2011 Fiscal Year Annual Research Report
欧州における地域政策の実施・持続性とソーシャル・キャピタル形成の関係に関する研究
Project/Area Number |
21520797
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 潤 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (90284562)
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Keywords | 持続的発展 / 地球温暖化 / 二酸化炭素 / 地方自治体 / 環境補助金 |
Research Abstract |
本研究は、持続的発展をめざした各種の地域政策が実施されている欧州を対象に、ソーシャル・キャピタル形成と地域政策の実施・持続性の関係を明らかにすることを目的した。本目的にもとづき、平成22年度に実施した現地調査対象自治体と比較する参照自治体の各アクターへの調査を通じて、ソーシャル・キャピタル形成の程度を評価した後、地域政策の成功・失敗や事業の持続性との関係を検討することを、平成23年度の研究実施計画で示した。 上述した研究計画にそって、平成22年度と同様に、予備調査、現地調査、調査後の分析に分けて調査をすすめた。予備調査では、LIPのアクターと現地調査の項目を精査し、調査票を作成した。現地調査では、ヨーテボリとヨーンショッピングの2参照自治体でソーシャル・キャピタル形成状況を定量的に把握するため、抽出したアクターを現地調査の被験者として、8月21日から8月30日に調査を実施し、ソーシャル・キャピタル形成の程度を把握するためのデータを収集した。加えて、22年度に十分な調査が実施できなかったストックホルムでの補足調査も当該期間に実施した。最後に調査後の分析では、現地調査の結果、得られたデータとネットワーク分析を用いて、ソーシャル・キャピタルの一要素であるソーシャル・ネットワークの度合を定量的に把握するとともに、事業実施期間と事業実施後の分析結果を比較することで、ソーシャル・ネットワークの時系列的な変化も検討した。 上述した平成23年度と平成21・22年度の調査結果をもとに、LIP実施時にソーシャル・ネットワークが強化されているにもかかわらず、CO_2排出量が増加する一方で、LIP実施後にソーシャル・ネットワークが弱体化しているにもかかわらず、CO_2排出量が減少することも明らかにすることで、ソーシャル・ネットワークと環境負荷との関連が薄いことを解明し、その成果の一部を国際学会で報告する一方で、査読論文で公表した。
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