2010 Fiscal Year Annual Research Report
草原の狩猟ー日本における半自然草原の狩猟文化の研究ー
Project/Area Number |
21520826
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
永松 敦 宮崎公立大学, 宮崎公立大学人文学部, 教授 (30382451)
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Keywords | 諏訪 / 阿蘇 / 野焼き / 狩猟 / 鷹狩 |
Research Abstract |
21年度の阿蘇研究に引き続き、22年度は諏訪研究を行った。諏訪上社では中世の『諏訪大明神絵詞』・『年内神事次第旧記』では3月初午の日から13日間行われる「外縣御立座神事」で、酉の日の鹿の頭と供える御頭祭と共に、辰の日の野焼き神事が行われており、鹿の頭の奉納と共に野焼きが春の神事として極めて重要な意味を有していることが認められる。野焼き神事については中世の文献上の記載だけで現在はその痕跡も見られないが、草原維持のための野焼きが重要視されていたことがわかる記載である。阿蘇の3月初卯から13日間行われる「卯の日祭り」と対比するとその共通点が浮かび上がる。阿蘇の初卯の日の狩猟と野焼き、諏訪の鹿頭の奉納と野焼きである。阿蘇と諏訪は金刺氏の系図から両者の関係は深いとする説はあるが、諏訪の「外縣御立座神事」と阿蘇の「卯の日祭り」は極めて近い関係にあることがわかる。春の神事と、野焼き・狩猟との関係を今後も研究する必要がある。 諏訪では今も江戸流の鷹狩が伝承されている。現在、諏訪湖周辺は禁猟区とされているが、鷹狩は鉄砲・罠を利用しないため狩猟法に関係なく、鴨などを取ることができる。現在では諏訪湖の鴨が増えすぎて、ワカサギなどの小魚の量が減少しているとされる。諏訪周辺の山間部の猟師は鹿狩を主とする。かつて盛んであったウサギは長野県が天敵である狐を導入したために、ほとんど見られなくなってしまったという。生態系の維持が望まれるところである。長野県では信州ジビエと称して、野生獣の料理をレストラン、猟友会などが中心に展開している。生態系の維持と共に、今後の狩猟のあり方を問う意味でも注視することが必要である。
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Research Products
(2 results)