2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本の船大工と木造船の現在―伝統技術の今を記録する
Project/Area Number |
21520833
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
出口 晶子 Konan University, 文学部, 教授 (00268385)
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Keywords | 木造船 / 船大工 / 技術継承 / 民俗学 / 文化財 / 建造記録 / 日本 / 海事史 |
Research Abstract |
本研究では、特色ある木造船文化を継承しながら、いまやその終焉期にある日本列島の現況を直視し、(1)数すくない現役船大工による建造工程の記録、(2)建造可能な木造船とその利用実態の調査、(3)将来にわたりそれらが生き残っていく諸条件についての考察を実施している。 川漁や磯漁、遊覧観光、社寺仏閣の祭りや観月、船こぎ競争、古式泳法の水練などでは、いまも木造船をよしとし、かろうじて新造されるチャンスがある。とはいえ、後継者を育成させるだけの需要はないため、遊漁船などでは専門の船大工の手を離れ、素人仕事で間に合わせる傾向がみられる。一方、観光船や行事船、練習船などではより確かな技術をもとめ、遠方への発注がなされ、船大工の側も図面と実船をたよりに広域のニーズにこたえるだけの力量がもとめられている。では、どうすればより好ましい形で技術継承をはたしていけるのか、実践的な手立てを実情にあわせて考え、的確な提案や指導をもりこみながら本研究は進めている。 平成21年度は、(1)主として丸木舟を中心に種子島、隠岐島、東北岩手など博物館資料や文化財の保存継承の在り方、(2)若狭・北陸など生活現場における木造船の保存・利用の現地調査を実施、くわえて(3)舞鶴の伝統的テンマを北陸の船大工が建造するという今後の技術継承のモデルケースとなる事例の現地調査記録にも着手した。この建造記録は引きつづき次年度もおこない、汎用性の高い資料化をはかる。
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Research Products
(1 results)