2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の船大工と木造船の現在―伝統技術の今を記録する
Project/Area Number |
21520833
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
出口 晶子 甲南大学, 文学部, 教授 (00268385)
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Keywords | 木造船 / 船大工 / 博物館 / 文化財保存 / 観光 / 技術継承 / 生業 / 民俗文化 |
Research Abstract |
本研究では、日本の船大工や木造船技術の現況について、見島、八丈島、西表島などの離島、青森の東海岸、出雲、瀬戸内等において、技術継承者からの聞き取り、観察、写真記録の現地調査を実施し、将来にわたりよりよい形で継承するための手だて、ならびに諸条件の考察に取り組んだ。 まず青森では、東日本大震災の被害をうけた東海岸一帯を調査、階上町は生業活動に木造船を現役で利用する数少ない地域の一つであるが、震災で木造船が流されたのち、いち早く近在から中古木造船を譲り受け、修理してアワビ漁再開にこぎつけている復興状況を把握した。ここに船小屋で眠っていた木造船が震災を契機に新たに利活用されていく実態が浮き彫りになった。また和歌山の最後の一本釣り木造漁船については、神戸大学海事博物館での保存を確認し、船体内部の記録調査を実施した。学校の水泳訓練用に新造され、前年度建造記録を実施した木造船については、子どもたちによって操船技術が継承されていく利用状況を調査記録している。 木造船が伝統行事に使われる出雲や瀬戸内の厳島などの地域では、こぎ手の技量を鍛える取り組みについて、また国の文化財指定をうけている博物館所蔵の木造船群については財政逼迫のおり、保存維持の難しさと課題について実地に調査し、窮状とその解決法の検討を行った。 八丈島、竹富島、西表島、見島などの離島においては、木造船技術の継承は途絶えているものの、その確かな記憶をもつ伝承者は残っており、聞き取り調査ならびに図面等を収集し、将来に有効な資料化の道を確保した。
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Research Products
(5 results)