2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代地域社会における司法機構の法社会史的研究-制度・人物・事件を中心に-
Project/Area Number |
21530007
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
橋本 誠一 Shizuoka University, 人文学部, 教授 (90208447)
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Keywords | 免許代言人 / 無免許代言人 / 代言人規則 / 訴訟代理 / 大審院 / 法学教育 |
Research Abstract |
本研究は、「近代地域社会における司法機構の法社会史的研究-制度・人物・事件を中心に-」という全体構想のもと、当該研究期間において、静岡県最初の免許代言人前島豊太郎に焦点を当て、(1)当時の法学教育、(2)彼が活躍した時代の裁判所制度のあり方、および(3)訴訟と代言人活動の実態を解明しようとするものである。 計画初年度に当たる今年度は、とくに(1)について、前島豊太郎が免許代言人となる以前に東京でどのような法学教育を受けたのかという点について、現時点で可能な限りの実証研究を行った(拙稿「明治初年の代言人と法学教育」)。その結果、従来の法学教育史に若干の新知見を加えることができたと考えている。 さらに(3)に関しては、前島が免許代言人として登場した時期の大審院法廷において活発に活動していた免許代言人と無免許代言人の人物像をおもに判決資料を用いながら具体的に解明した(拙稿「大審院法廷における代言人・代人」)。その結果、かつて拙著『在野「法曹」と地域社会』で示した仮説(明治10年代前半の大審院法廷では無免許代言人が活発に活動していた)の妥当性を再確認することができた。 また、これまでの研究史の流れを振り返りながら、今後の課題を整理するという作業も行った(拙稿「再論・在野『法曹』と地域社会」)。 その一方で、今年度の研究課題として挙げていた「静岡地方裁判所制度の整備」については、ほとんど手をつけることができなかった。次年度の課題としたい。
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Research Products
(3 results)