2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530015
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉田 如子 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員研究員 (70533967)
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Keywords | 警察 / エリート / 立法過程 / 政治政策 / 組織文化 / 地方行政 / 警察庁 / 出向 |
Research Abstract |
本年度は、最終年度のまとめとして、平成21年度から平成22年度の二年間に収集した調査票調査、および、面談調査の内容をデータベース化し、分析を行った。 その結果、以下の五「点が明らかになった。(1)都道府県警察官の中には、明らかに政策策定、組織運営を中心に担うエリート層が存在していること、(2)彼らが一般警察官とは異なる特殊な職務経験、警察庁を中心とした中央官庁や都道府県知事部局への出向を中心に据えた一般行政官としての育成を受けており、その結果、他の警察官とは異なる意識を有する集団であること、(3)彼らの政策策定能力が、国政レベルでは成立し難い法的制度を地方条例等において成立させることを可能としていること、(4)刑事分野の立法においては、この警察庁エリートと都道府県警察エリートの連携による条例成立、そして地方条例が国政分野に及ぼす影響は、決して無視できないこと、したがって、(5)都道府県警察エリートの影響は、近年の政令指定都市への権限移譲による都道府県庁の権限縮小を背景とした治安問題への積極的な関与と相侯って、警察庁と都道府県警察の関係にとどまるものではないと考えられることである。 この分析を受けて、警察庁官僚や他国の同分野の研究者との面談を実施し、海外学会でも発表したところ、このような傾向は決して日本に限定されたことではなく、英国などでも同様の傾向が観察され、いわばユニバーサルな潮流であることが確認されつつある。
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