2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530031
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 秀美 Osaka University, 高等司法研究科, 教授 (50247475)
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Keywords | 通信放送法制 / 表現の自由 / 通信と放送の融合 / 放送の自由 / 公共放送 |
Research Abstract |
本研究課題の先行研究の成果を論文にまとめ、今年度に入ってから共著『放送法を読みとく』(商事法務)の担当部分「放送の自由・総論」として公表した。また、先行研究の成果に基づき新たに「情報通信法論議を読みとく-放送に対するコンテンツ規律を中心に」という論文を執筆し、雑誌『AURA』で公表した。総務省における通信と放送の法体系の見直しの成果が、2009年8月末に情報通信審議会情報通信政策部会の答申として公表された。この答申をベースに総務省において放送法等の改正案が作成され、2010年1月にはじまる通常国会に政府提出法案として提出される見込みとなった(なお、2010年3月5日に放送法等の一部を改正する法案について閣議決定)。また、2009年には日本放送協会(NHK)の国際放送および受信料のあり方について裁判所の判決が相次いで下された。このような状況において、通信放送法制が直面している諸課題について有識者と意見交換をするため、2009年11月および2010年2月に研究会を開催した。また、9月に早稲田大学で開催されたドイツのテユッセン財団主催の国際シンポジウム(総合テーマ「メディアと法」)のメディア法部会に日本からの報告者として招待され、Die inhaltliche Regelung imjapanischen Rundfunkrecht(日本の放送法における内容規制)というテーマで報告を行い、他の報告者と意見交換した。この他、インターネット上の有害情報規制についての研究成果を共著『インターネットと法[第4版]』の担当部分として公表した。日本の放送法制は、法律によって放送事業者に自己規制を促すという、近年、ヨーロッパで注目を集めている規制の手法をかねてより採用してきたが、それゆえ、法律による規制(とりわけ内容規制)は緩やかで、放送事業者に免許を与え、監督する総務大臣に広範な裁量の余地が与えられている。このような放送法制の特徴を、通信と放送の融合に対応するための新しい法制度においても維持すべきか否かという問題を中心に、来年度も引き続き研究を進める予定である。
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Research Products
(4 results)