2011 Fiscal Year Annual Research Report
安保理決議が法的拘束力を有する要件について:主要国の見解の調査研究
Project/Area Number |
21530045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅田 正彦 京都大学, 法学研究科, 教授 (90192939)
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Keywords | 国連 / 安保理 / 決議 / 国連憲章 / 法的拘束力 |
Research Abstract |
本研究は、国連安保理の決議が法的拘束力を有するための要件は何か、という問題について調査・研究を行うことを目的として実施してきた。この問題は、1971年に国際司法裁判所がナミビア事件・勧告的意見において扱ったが、そこでは安保理決議が法的拘束力を有するか否かは、当該決議の文言、決議にいたる審議、援用された国連憲章の規定、その他関連するすべての事情を考慮して決定されるべきものであるとされた。しかし、この意見には英仏両国が反対するなど、主要国の間でも必ずしも意見の一致がない。学説上は、安保理決議が法的拘束力を持つためには、国連憲章第7章の下で採択された決議において「決定(decides)」されていなければならないとする見解が有力である。このように、この問題に関しては、主要国の意見、判例、学説に必ずしも一致が見られてきたわけではないことから、今日の安保理の実行においてはいかなる要件をもって決議に法的拘束力が認められるとされているのかについて、インタビューを中心に聞き取り調査を実施することとしたものである。前年度実施できなかったインタビューは、主として諸国の国連代表部において行ったが、対象国は、安保理のすべての常任理事国のほか、西側主要国や第三世界の主要国を含む十数か国に及んだ。調査の結果、これまでの主要な学説が唱えていた憲章第7章の下での「決定」のみが法的拘束力を有するという立場は、今日の国連においては必ずしも共有されていないことが判明した。とりわけ2006年以降の安保理の実行の結果として、今日では、「決定(decides)」のみならず、「要求(demands)」等も法的拘束力を持つものと一般に捉えられているようである。もちろん、諸国の見解がこの点において完全に一致しているというわけではない。今後、前年度の不慮の事故のため予定が繰り下がって十分な形では実施できなかった最終取りまとめの作業を引き続き行いたい。
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Research Products
(6 results)