2010 Fiscal Year Annual Research Report
刑事訴訟における被害者参加制度の実証的研究~改正法の「3年後見直し」に向けて~
Project/Area Number |
21530067
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中島 宏 鹿児島大学, 司法政策研究科, 教授 (00318685)
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Keywords | 刑事法学 / 被害者参加 / 裁判員制度 |
Research Abstract |
1.被害者参加にかかる事例調査 本研究は、刑事訴訟における被害者参加等によって生じる問題を実証的に明らかにするものである。平成22年度も前年度に引き続いて、被害者参加および刑訴法292条の2による意見陳述が実施された事件の公判を傍聴し、弁護人からの聞き取り調査を行った(鹿児島地裁、東京地裁本庁、東京地裁立川支部)。鹿児島地方裁判所において平成22年12月10日に無罪が言い渡された裁判は、裁判員が参加する刑事裁判における全面否認事件で刑訴法292条の2による被害者等の意見陳述が行われた事案であり、この経緯および影響について特に掘り下げた事例研究を行った。なお、被害者参加弁護士への調査については、未だ十分なサンプル数を得られず、具体的成果を取りまとめるには至っていないものの、いくつかの事案についての聞き取り調査を行った。 2.被害者参加制度の理論的基礎 平成19年における刑事訴訟法改正の立法過程についての研究を踏まえ、当事者主義的訴訟構造を前提としつつなされる被害者参加のあるべきモデルについて、文献資料および事例調査から得られた知見を踏まえながら、かつて判決前調査の導入などと関連づけて主張されたいわゆる手続き二分論との融合を柱としつつ考察を進めている。具体的な成果については、平成23年度において順次公刊する予定である。 3.被害者供述と事実認定 平成21年度と同様に、被害者参加ではないが、被害者の利益と被告人の防禦が相剋する場面として共通の問題を含む被害者供述の信用性が争点となった否認事件における防御活動の実際についても、引き続いて聞き取りや記録の閲覧を行った。その成果は、季刊刑事弁護誌上において公刊した。
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