2010 Fiscal Year Annual Research Report
協同組合法理論における同一性の原則の相対化に関する研究:非利用組合員を中心にして
Project/Area Number |
21530070
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
多木 誠一郎 小樽商科大学, 商学部, 教授 (50324364)
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Keywords | 協同組合 / 非利用組合員 / 投資組合員 / 同一性の原則 |
Research Abstract |
一 欧州協同組合法に関する研究 昨年度までの研究で、ドイツ協同組合法及びヨーロッパ協同組合法規則における非利用組合員については、同一性の原則との平仄合わせについて成功しているとはいえない点を明らかにした。今年度はこの点に加えて、より基本的な特質である組合員助成との平仄合わせについて吟味した。その結果ドイツでなされている議論では、平仄合わせに失敗しているとまではいえないが、少なくともかなり苦しい説明がなされていると結論付けうる。この説明を前提にすると、同一性の原則との平仄合わせが成功しているといえない状況で問題提起しうるのは、同原則を含む伝統的協同組合法理論を修正して新たな理論を確立し、その理論によって非利用組合員を説明しようとする考え方ができないだろうかという点である。この点については残された課題であり、次年度に検討したい。 二 韓国協同組合法に関する研究 わが法と最も類似している法制である韓国協同組合法における員外取引を取り上げた。同一性の原則の相対化を目指すという本研究の目標に照らせば、わが法のみならず-わが法と最も類似の法制である-韓国法について合わせて考察することにより、研究の厚みが増すと考えたからである。 法律の定めのみならず、行政庁の作成した組合定款例のレベルまで掘り下げて、員外取引がどのように規整されているのかを具に吟味した。その結果わが法と同様事業別に複雑に規整されているが、わが国と比べると格段に員外取引に係る制限が緩やかであり、同一性の原則が相対化されていることを明らかにした。この程度まで相対化されている中でも、協同組合理論との整合性についてわが国のようには強い批判がなされていないのは何故か、次年度は引き続きその背景を探っていきたい。
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Research Products
(3 results)