2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530149
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
日暮 吉延 Kagoshima University, 法文学部, 教授 (30253917)
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Keywords | 東京裁判 / 戦犯 / 戦後日本 / 日本外交 |
Research Abstract |
本研究計画の初年度にあたる平成21年度は、もっぱら一次資料の調査収集作業に専念した。なお本研究の実証的な性格上、一次資料の調査収集活動は、すべての研究期間において継続される予定である。 平成21年度においては、靖国偕行文庫(東京都千代田区)所蔵の『井上忠男文書』の調査を通じて、日本側対応の詳細について、いわば「肉付け」となるようなディティール的情報を多数入手することができた。文書館の性格上、旧帝国陸軍という行為主体の動向が中心となるが、それ以外にも日本側が戦犯釈放のために派遣したミッションの経緯や内実がかなりわかってきた。 たとえば、1953年、法務省の附置機関である中央更生保護審査会が欧米6カ国を歴訪し、米・英・蘭・仏の拘禁国側とは釈放問題での懇談を行ない、同じ立場に置かれるドイツでは同国外務省の担当者と情報交換を行ない、ローマ法王庁にも戦犯問題で訪問し、その2年後にも同じルートでの渡欧をしていること。この二つの使節は、それぞれ吉田茂内閣時と、政権交代した鳩山一郎内閣時という点で異なっており、とくに後者の場合、戦犯釈放問題に対する内閣の圧力が強まり、重光葵外相に対する渡欧報告がオランダの戦犯釈放問題につながる成果をもたらした模様であるという情報が得られた。 以上に述べたように、初年度においては、ほぼ予定どおりに計画を推進することができた。次年度以降は、国立公文書館に所蔵される厖大な法務省資料の調査を開始することを予定している。このことによって、さらに重要な知見が多く得られるものと期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Discussant in Session 12009
Author(s)
Yoshinobu Higurashi
Organizer
Workshop and Public Program, "The Tokyo Trial : Legacy and Reassessment"
Place of Presentation
The George Washing-ton University, Washington, D.C.
Year and Date
2009-09-11