2012 Fiscal Year Annual Research Report
「2013年までの極東ザバイカル地域開発プログラム」と北東アジア国際秩序の研究
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21530157
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
堀内 賢志 早稲田大学, 付置研究所, その他 (80329052)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ロシア / 地域開発 / 国際協力 / エネルギー |
Research Abstract |
平成24年度は、引き続き2007年に承認された「2013 年までの極東ザバイカル地域経済社会発展連邦特定目的プログラム」を基礎とするロシア極東地域開発の進捗状況をフォローし、同時に、アジア太平洋地域レベルにおけるエネルギー・環境協力の現状と、そこにおいてロシアが築きつつある関係のあり方について研究を行った。 さらに、上記プログラムが実施最終年度を迎えるにあたり、ロシア政府は2012年より新たに2014年から2025年を対象とする「極東バイカル地域社会経済発展国家プログラム」の作成を進め、また2012年5月に「極東発展省」を創設するなど新たな極東開発体制の構築に乗り出した。この新たな極東開発計画の策定とロシアの極東開発体制に関しても、本研究課題に深く関連した重要問題として調査を行った。この極東開発の主要な主体と開発体制、開発の方向性に関しては、大統領・政府内部で少なからぬ混乱があり、いまだ明確な決定がなされていないと結論付けられる。 アジア太平洋地域のエネルギー協力に関しては、平成24年度には環境や原子力などの分野での地域的な枠組みについても研究を進め、これらの分野でも同地域ではそうした協力枠組みの制度化を進めていく上で障害が存在することを明らかにした。また、こうした地域協力においてロシアは他の地域諸国と利害を共有しており、協力の発展は展望できるが、他方でロシアが「抑制されないエネルギー超大国」(M・ゴールドマン)として地域諸国のエネルギー政策におけるリスクとなることも懸念されている。しかし、この問題については、ロシアに対する日本や中国といった消費国の立場は弱いわけではなく、そうしたリスクは実際には大きくはないこと、またエネルギー効率の向上や環境、原子力等の分野でより互恵的な協力が成り立つことなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度における研究の遅れが持ち越されることとなった。現地研究者とのスケジュール上の調整の問題があり、現地調査を次年度に先送りすることにもなった。また、平成24年度には、本研究課題とは別に、所属機関の研究者が代表者となっている原子力に関する研究プロジェクトの協力研究者となったが、この研究の遂行に予想外の時間をとられ、本研究課題遂行上の時間が削られることとなった。このため平成25年度より同プロジェクトからは外れることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、極東地域開発プログラムにより行われてきた施策の成果と評価、それがロシアとアジア太平洋諸国の関係に与えた影響の分析、こうした動向それらの総合的な考察を通じて、研究のとりまとめを行う。ただし、ロシアにとって極東地域開発はより長期的な課題であり、「極東発展省」設置などに見られる地域開発体制の整備、「2025年までの極東バイカル地域発展国家プログラム」の策定など、開発の新たな方向性がすでに打ち出されている。さらに、ロシアおよびアジア太平洋地域をめぐる国際情勢はきわめて流動的な状態にあり、本研究の開始時とは異なった状況にある。取りまとめに当たっては、今後の研究につなげていくためにも、こうした新たな状況の把握に努めながら、より広い文脈の下に分析・評価を行い、あわせて今後の研究の方向性を定めていきたい。
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Research Products
(5 results)