2011 Fiscal Year Annual Research Report
国民国家システムの危機とその影響に関する研究-コソボと南オセチアの事例から
Project/Area Number |
21530158
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
伊東 孝之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30002140)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 弘毅 首都大学, 東京大学院・人文科学研究科, 准教授 (90374701)
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (30366976)
|
Keywords | 国民国家 / 民族紛争 / コンボ / アブハジア / 南オセチア / セルビア / ロシア / グルジア |
Research Abstract |
本研究の目的は、セルビアからのコソボ独立問題とグルジアからの南オセチア・アブハジア独立問題という2つの紛争事例を詳細に調査し、共通性と差異を浮き彫りにしつつ、両者の間の相互作用にも注目し、今後の国際政治に与える影響を分析することである。具体的には、(1)紛争の背景、(2)紛争の推移、(3)国際関係と国際関係主体に対する影響の3点について、現地調査も踏まえて比較分析を進めていくことを目的とする。平成23年度は、22年度に引き続き、紛争の歴史的経緯と現状の把握を目的とし、2つの事例についての資料収集を行うと同時に、多くの研究協力者から専門的な知識を得ることを試みた。伊東はセルビア、ボスニア、ポーランド、ロシアを訪問し、現地の専門家や政治家、外交関係者らに対する聞き取り調査を行い、セルビアとグルジアをとりまく国際関係に関して多くの知見を得た。前田は、グルジア現地において現地調査を実施し、有識者等への聞き取りの他、グルジア・南オセチア紛争に関連する書籍の収集に努めた。また、大阪大学の招聘で来日したコーカサス民族研究の泰斗スーニーシカゴ大学名誉教授などから現地情勢に関する専門的知識の提供を受けた。こうした成果の一部は論文として刊行され、主にグルジア国内政治の視点から2008年の紛争勃発に至る過程を明らかにした。久保は、セルビアで現地調査を実施し、現地の専門家、市民団体のメンバーなどへの聞き取り調査とコソボ問題に関する書籍等の資料収集に努めた。比較研究の総合化へは道半ばであるが、政治学や国際関係論、歴史学など様々なディシプリンの成果を援用しつつ、紛争を複数の視点から考察することの意義と有用性については、三年間の間で本研究参加者の間で共通の認識を得ることができたと考える。本研究の成果は今後のより地域横断的かつ総合的な研究に活かされていくことが期待される。
|
Research Products
(16 results)