2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ1920年代半ばのヒルファディングの景気政策と調査及び経済体制論
Project/Area Number |
21530190
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
河野 裕康 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (50161344)
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Keywords | 思想史 / 経済政策 / ヒルファディング / ドイツ社会民主党 / 組織された資本主義 |
Research Abstract |
ドイツで1920年代半ばにヒルファディングは経済政策の前提として経済実態の把握の必要性を説き、ドイツ経済生産販売条件調査委員会、いわゆるアンケート委員会の設置運営と聴き取り調査に自ら積極的に関わったが、従来の研究ではほとんど検討されてこなかった。1925年7月にヒルファディングら国会通商委員会は経済調査の委員会を求める動議を提案し、8月に国会本会議で可決に導いた。9月に暫定国家経済協議会で彼は設問準備委員会の設置を提案し、10月には作業計画を中心的に作成した。1926年3月にヒルファディングらの修正動議も入れてアンケート委員会設置法が国会で成立した後、彼は5月から準備委員として委員会構成を提案し、さらに6月から執行部として具体的な検討課題を提示した。彼は全般的経済構造を扱う第1小委員会の第3作業班で経済構造変化と株式法や産業集中、カルテル、第6作業班で国際債務収支、また産業を扱う第3小委員会では第6作業班の代表としてカリ工業、さらに通貨信用制度を扱う第5小委員会では委員長として中央銀行などを精力的に聴き取り調査した。彼は1928年6月から1929年12月まで財務大臣就任で委員会を離れたが、株式会社の公開性、販売シンジケートと価格、銀行カルテルと利鞘、割引政策と中央銀行の景気策、外債と公的資金の扱いなど、聴取の成果は報告書に生かされた。また通商政策では、彼は1927年4月のフランス暫定通商追加協定や7月の関税変更法について、国会通商委員会及び本会議で大衆賦課などの問題点を指摘したことが示された。なお本年度は経済学史学会全国大会において、関連テーマであるヴァイマル期ヒルファディングの活動と経済民主主義思想を扱った報告についてコメントを行った。
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Research Products
(2 results)