2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国とG7諸国における為替レート、貿易構造、貿易収支
Project/Area Number |
21530214
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
XING YuqIng 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (80288232)
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Keywords | Exchange Rates / Pass-through / China / US / Japan / iPhone |
Research Abstract |
一本目の論文は、"the Yuan's exchange rates and pass-through effects on the prices of Japanese and the US imports."である。日本及び米国における中国からの輸入品価格に対する人民元為替レート転嫁効果について測定した。経験的結果によると、人民元名目1%値上りにより、米国輸入品価格は、短期的に0.23%、長期的には0.47%上昇する。日本輸入品価格はさらにやや敏感で、人民元名目1%値上りにより、短期的に0.55%、長期的には0.99%上昇、すなわちほぼ完全な転嫁となることが予想される。日本輸入品価格の高い転嫁効果は、食品、原材料、衣料、製造、機械などの各セクターレベルでも見受けられる。しかし、さらに分析すると、高い転嫁効果は、米ドルと人民元を連動させる中国のペッグ政策、及び対日輸出に関して米ドルを主要な請求通貨に用いていることが主な原因であることがわかる。低い転嫁効果が試算されるということは、人民元の穏やかな値上がりは中国の輸出にほぼ影響がないであろうことを示す。二本目の論文は、"how the iPhone widens the US trade deficit with China."である。 iPhoneを例に、米国企業が発明したハイテク商品でさえ、米国の輸出を拡大させるどころか、むしろ貿易赤字を悪化させていることを示した。iPhoneは19億ドルという米国の対中貿易赤字の一因となった。未曾有の国際化、よく整備された国際的生産ネットワーク、全国的生産フラグメンテーションの急速な発展、低い輸送コスト、これらすべてが、Appleのような合理的企業に、米国に貿易赤字を直接的にもたらすこととなった経営上の意思決定を下させた要因となった。国際的生産ネットワーク及び高度に専門化された生産工程は、貿易パターンを明らかに逆転させている。すなわち、中国のような新興国がiPhoneのようなハイテク商品を輸出する一方で、米国など先進工業国は自ら生み出したハイテク商品を輸入する。さらに、従来の貿易統計によれば、多国籍企業の輸出基盤となっている国とその輸出相手国との二国間における貿易赤字は増大している。
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Research Products
(3 results)