2010 Fiscal Year Annual Research Report
情報通信産業の規制改革の理論・実証研究:利便性と安全・安心の両立を目指して
Project/Area Number |
21530218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
依田 高典 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60278794)
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Keywords | 携帯電話 / プラットフォーム / スマートフォン / コンジョイント分析 / 離散選択分析 / ロジットモデル / 独占禁止政策 / 競争政策 |
Research Abstract |
本研究「情報通信産業の規制改革の理論・実証研究:利便性と安全・安心の両立を目指して」では、電気通信民営化・自由化から25年を経て、世界に先行する日本のブロードバンド・サービス、携帯電話サービスを対象にして、新しい規制改革の在り方を理論・実証の両面から研究した。主要な研究内容は以下のように要約される。 Ida, T. "Consumer Preferences for Service Portability in Japan's Mobile Phone Market," Applied Economics forthcoming. 日本の携帯電話市場は3社寡占化が進んでいる。各社とも垂直統合ビジネスモデルを志向しているために、プラットフォーム機能の閉鎖性が競争阻害要因として問題にされている。本研究では、2点について、定量的に分析した。第一に、メールアドレス、コンテンツ、アプリケーション、携帯端末など、全てのポータビリティの便益を合算すると2,000円を超える。第二に、音楽配信サービスの公式サイトと一般サイトの差に着目したところ、音楽配信サービスのプラットフォームのWTPは、1曲あたり100~200円である。以上から、消費者には、プラットフォームのオープン化によって実現する多様で低廉なサービスへの選好と、プラットフォームの垂直統合によって実現するセキュリティと簡便さへの選好というトレードオフが存在することが分かった。
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