2011 Fiscal Year Annual Research Report
肥満化が労働者、企業、社会に与える影響とその経済学的分析
Project/Area Number |
21530234
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
古郡 鞆子 中央大学, 経済学部, 教授 (90173533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 司 中央大学, 経済学部, 助教 (50520863)
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Keywords | 肥満 / 賃金 / 雇用 / 医療・医療費 / 日中比較 / 生活満足度 / ダイエット / 結婚 |
Research Abstract |
本研究(2009-2011)は、肥満の諸問題とそれが与える影響を、肥満と個人の仕事・生活、肥満と雇用・賃金・差別、肥満と医療費・社会保障などの観点から経済学的に分析したものである。2011年度は、肥満化の諸要因、肥満と生活の質、相対BMIが生活満足度に与える影響、身長・体重の相違と生活満足度、大学生のダイエット行動、子どもの肥満と家庭環境、肥満と賃金、肥満と就業・結婚、肥満と医療費などの関係についての計量分析を行った。分析には、大学生(約1000人)を対象に行ったアンケート調査およびKHPS(慶応義塾家計パネル調査)を使った。 2011年度のいくつかの成果(分析結果)として次のものがある。(1)肥満は生活の質(HRQL, Health-Related Quality of Life)を低下させるが、その影響は精神面より肉体面に顕著に表れる。(2)BMIは生活満足度に影響を与える。BMIは無配偶男性の生活満足度に負の影響を与える。相対BMI(自分のBMIと準拠集団の平均BMIの差)が高いと無配偶女性の生活満足度や将来安心度が上昇する。(3)肥満の男性は、正規就業ではなく、自営業や無業を選択する確率が高くなる。-方、女性はBMIが高いと結婚確率が低下する。とくに肥満は女性の結婚に対して、男性の就業に対して負の影響を与えているようである。(4)(全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)のデータを使って肥満と関連の強い高血圧・糖尿病と腎不全による人口透析が医療費に与える影響の分析を行った結果では、肥満者が1%増えると高血圧症と糖尿病になるリスクが上昇し、被保険者の保険負担が年間前者で348円、後者で361円増加する。 現在、次の論文を含む学術・専門雑誌に投稿中である。「肥満の生活への影響と対策~健康生活、医療費、肥満者差別と肥満対策」、「肥満が医療費に与える影響とその事例分析」。「肥満が生活の質に及ぼす影響の一分析」、ほか4編。研究の成果を単行本にまとめる作業も現在進行中である。
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