2009 Fiscal Year Annual Research Report
ノンパラメトリックアプローチによる中国の地域間格差に関する研究
Project/Area Number |
21530247
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Research Institution | The International Centre for the Study of East Asian Development |
Principal Investigator |
坂本 博 The International Centre for the Study of East Asian Development, 研究部, 主任研究員 (00370221)
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Keywords | 中国 / 地域間格差 / ノンパラメトリック |
Research Abstract |
本研究は中国の地域間格差について、比較的研究の遅れているノンパラメトリックな手法を用いた研究を行っている。 本年度の成果としてはまず、これまでの研究の仕掛かりをまとめ、ワーキングペーパーなどに発表した。1つはマルコフ連鎖を用いた人口移動と地域間格差に関する研究で、人口移動が特定の省に集中することで格差を縮小させることが可能であることを示した。また、地域間の所得格差を労働者報酬、固定資産減耗、税および営業余剰といった付加価値別に分類し、カーネル密度推計の結果、どの項目も格差が豊かな地域と貧しい地域の二極に分化する可能性があることを示した。さらに、中国の上海市、江蘇省、浙江省の3地域に集中した分析では、江蘇省が二極分化傾向を示したものの、3地域を1つの大きな地域(長江デルタ地域)としてみた場合は格差が縮小する可能性があることを示した。 また、中国の公表データによる賃金格差の傾向を分析した研究が査読誌に掲載された。ここでは、賃金格差が急激に拡大していることを示したうえで、その要因が地域間格差から直近では業種間格差に変化していることを明らかにしている。また、地域別・業種別で格差構造が大きく異なっている点も明らかにした。 新しい研究としては、中国の産業構造の変遷を簡単な指標を用いて分析したものと、地域間の物流動向を鉄道の出発地-目的地(O-D)表を用いて分析したものがあり、これらの成果を学会などで報告した。
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