2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本経済における資本に体化された技術進歩と新規投資
Project/Area Number |
21530256
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
徳井 丞次 Shinshu University, 経済学部, 教授 (90192658)
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Keywords | 生産性 / 技術進歩 / 資本ストック / 設備投資 |
Research Abstract |
平成21年度は、研究代表者のこれまでの関連する研究で未解決であった、資本に体化された技術進歩を扱う場合の適切なデフレーターの問題について検討した。これは、資本に体化された技術進歩を生産関数の推定から抽出する場合に、設備投資を実質化する際のデフレーターにすでに「資本の質向上効果=資本に体化された技術進歩」が含まれていては二重計算になり正確な推定値が得られないことであった。この問題の取り扱い方法、及び万一、投資デフレーターから「資本の質向上効果」を完全に取り除けない場合に生じる誤差の大きさについて理論的に検討した。さらに、資本に体化された技術進歩が存在する場合のマクロ経済の生産性(TFP)計測に与える影響についても概念を整理した。また、資本財の価格情報から得ることが可能な資本財種類ごとの「資本に体化された技術進歩率」と、分析上有用な産業ごとの「資本に体化された技術進歩率」とを関連付ける方法についても検討した。 また、関連するテーマとして、自営業者の生産性、海外アウトソーシングがマクロ経済に与える影響についても研究を行った。自営業者の生産性については、「工業統計」個票データを使った生産関数推定の方法によって、自営業者(自営業主と家族従業者)と雇用者の生産性格差を推計した。その結果、所得データから推計される両者の生産性格差にもかかわらず、生産関数を使った方法では、両者の間に大きな労働生産性格差は存在しないことが明らかになった。また、海外アウトソーシングなど新たな国際分業のミクロ構造が、景気循環、デフレーション、生産性と成長、賃金格差などのマクロ経済現象に与える影響についての研究動向について文献のサーベイを行った。
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Research Products
(2 results)