2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本経済における資本に体化された技術進歩と新規投資
Project/Area Number |
21530256
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
徳井 丞次 信州大学, 経済学部, 教授 (90192658)
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Keywords | 生産性 / 技術進歩 / 資本ストック / 設備投資 |
Research Abstract |
本年度は、企業または事業所レベルで生産性に係る分析を行い際に不可欠な、生産要素として中間投入を含む場合の取り扱いについて、資本に体化された技術進歩の分析枠組みの理論的取り扱い、さらに中間投入の投入産出を通じた産業間の間接的波及の把握方法、また企業または事業所レベルの生産性上昇の、資本に体化された部分とそうでない部分との分解方法について式を導出した。これを、既に検討済みの、設備投資のデフレーターに資本の質の向上効果が含まれてしまっている場合の二重計算の除去の方法と組み合わせて、企業または事業所レベルのデータを使って資本に体化された技術進歩率を推計する方法について、研究代表者が申請前に行ってきた研究方法をより精緻化する分析方法について課題を解決した。今後は、この方法を適用して、新しい推計を行い、日本経済の分析に新たな視点を得ることに繋げたい。 また、本課題を進める上で得られた分析手法を応用して行った関連する研究として、所属大学の外部資金研究費を取り上げて、共同研究・受託研究契約データを整理することで得られた研究分野と産業部門との変換マトリックスを使って、その収益率を求める分析をおこなった。さらに、その結果を踏まえて、大学と企業との産学連携を巡る諸課題についても論点をまとめた。いま一つの関連する研究は、東日本大震災で露わになったサプライチェーン途絶による波及効果について、独自に震災被災地での産業別直接被害推計を行い、それを地域間産業連関表と組み合わせて、産業の前方連関の分析手法を改良(一次波及では製造業から製造業の投入に代替が利かない効果を導入)しながら分析を行った。その結果、震災後のサプライチェーン途絶による生産活動縮小効果の大きさを評価し、同時に行ったシミュレーションによって、供給拠点を2地域に分散することによる被害軽減効果を分析した。
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Research Products
(3 results)