2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530279
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
丸谷 冷史 Kyoto Sangyo University, 経済学部, 教授 (60030673)
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Keywords | ドイツ経済 / well-being / 「貧困と富裕」報告書 / SPD政府の対貧困政策 / 潜在的能力分析 / Lebenslagenansatz |
Research Abstract |
研究の意義:東西ドイツの統一後20年が経過し,統一の社会経済的意義,わけてもそれがドイツ経済の発展に及ぼした影響について総合的に評価する時期を迎えている.この時期はグローバル化の急展開および人口の高齢化が顕著になってきた時でもあり,経済基盤,経済環境の変化に対する経済政策の課題を考察する上でも重要な資料・情報を提供する.したがってこの期間のドイツ経済の発展およびそれに経済政策が果たした役割の研究は経済政策論にとって重要な意義を有する.今年度はそれまで16年間にわたるCDU/CSU内閣の後を受けて,1998年に成立したSPDの連邦政府が打ち出した貧困および社会的排除に対する新しい政策を第1次~第3次「貧困と富裕に関する報告書」を中心に,新しい経済政策の性格づけ,分配問題および経済発展ならびに景気に対する効果の追跡を行った.また同報告書はノーベル経済学賞受賞者であるA.センによって開発され,近年ドイツでも多くの関心を集めているcapability approachによる実証研究の方法を応用,発展させている点を重視し,それとドイツの伝統的な分析方法であるLebenslagenansatzとの比較を行ったことは,学説史,方法論的にも大きな意義があると考えている. 主たる研究実績:本年度はとりわけ東西両地域の分配構造の比較と高齢者の生活実態に焦点をあてて実証研究を行った. 1.ドイツ連邦政府の「富裕と貧困に関する報告書」において重用されているLebenslagenansatzについてその特徴を明らかにし,分析プログラムを作成した. 2.多元的アプローチによるWell-beingの推計 ドイツ経済研究所から提供を受けたGSOEPデータを使用してドイツにおける生活実態の多次元的計測を行った.
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