2010 Fiscal Year Annual Research Report
日露・第一次大戦期における海軍兵器の供給をめぐる国家と企業
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21530342
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
奈倉 文二 獨協大学, 経済学部, 教授 (10007825)
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Keywords | 海軍兵器 / 海軍工廠 / 軍器独立 / 軍事関連企業 / 兵器供給 |
Research Abstract |
平成22年度においては、下記論文2篇を執筆した(掲載誌等、裏面記載参照)。 論文1. 「第一次世界大戦期の日本爆発物会社と技術移転-英国政府及び出資者との関係を中心に-」:日本爆発物会社(平塚製造所、後の海軍火薬廠)は海軍用火薬国産化過程において極めて重要な役割を果たした割には、その実態は殆ど知られていない。その一因は同社が英国法人(The Japanese Explosives Co. Ltd.)であったことによる。そこで数少ない日本側一次史料に加えて、英国側史料を発掘し(主としてアームストロング社旧蔵史料と英国公文書館所蔵史料)、第一次大戦期特有の条件にも留意して、英国政府・海軍による火薬供給要請及びアームストロング社との関係を中心に検討し、英国側から日本側への技術移転が円滑に行われた経緯を示した。 論文2. 「兵器機械商社・高田商会の活動(1881~1912年)-アームストロング社の対日活動との関連を探りつつ-」:日清・日露期に兵器機械商社として急速に発展した高田商会は、英国総合兵器会社アームストロング社日本代理店として日本海軍への艦船兵器類の供給に極めて重要な役割を果たしたが、その後倒産(1925年)したこともあって現存史料に乏しい。本論文では、同社の活動について、筆者の問題関心(もう一つの英国総合兵器会社ヴィッカーズ社及び日本代理店三井物産との競合)に沿って、史料的に可能な限り明らかにした。とくに重要な知見は、アームストロング社は対日活動に際しては、高田商会に先立ち、ジャーディン・マセソン商会、デンマーク退役軍人ミュンター、そして、薩閥海軍大将・樺山資紀とのコネクションを活用した赤星弥之助など、様々な形で日本海軍への売り込み工作に必要な人材・会社を活用していたことが明らかとなったことである。
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Research Products
(2 results)