2009 Fiscal Year Annual Research Report
老舗同族企業経営問題に関する日仏比較研究を通じた事業承継リスクマネジメントの提案
Project/Area Number |
21530373
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
亀井 克之 Kansai University, 総合情報学部, 教授 (10268328)
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Keywords | 老舗企業 / 同族企業 / ファミリー・ビジネス / 中小企業 / 事業承継問題 / リスクマネジメント / 日仏比較研究 / 事業承継モデル |
Research Abstract |
「日本では、同族経営、すなわちファミリー企業には、マスコミによる企業不祥事の温床としての否定的な見方が強く、一般的にも、学術研究においても、正当な扱いを受けているとは言い難い」「日本経済では同族企業が重要な位置を占め、中小企業の大多数は同族企業である」「創業100年以上の老舗企業の数で、日本は他国を凌駕している」「ファミリー企業における最大のビジネス課題が事業承継である」「老舗企業の大半を占める同族中小企業の経営問題、特に事業承継は、日本では学術的な研究の対象とはなってこなかった。一方、フランスでは、これが学術的研究の対象として完全に定着している」 こうした背景の下で進められている本研究は、平成21年度は、フランスにおける中小企業研究の若手第一人者であるトレス氏の著作の日本語版刊行と日仏学術交流を軸に、以下のような成果を挙げた。 (1)南仏ワイン産業を題材に地域社会に根差した老舗企業や同族企業を分析したオリビエ・トレスの著作の日本語版を刊行した。 (2)前掲書著者トレス氏を6月~7月に日本に招き、さまざまな学会で共同研究報告を行い、日仏学術交流を展開した。 (3)8月にフランスで現地調査を行い、南仏の老舗・同族企業でインタビュー調査を行い、日仏学術交流を展開した。 (4)日本における新たな老舗企業・同族企業の調査対象として、山梨県甲州ワイン生産者の協力を得るようになった。 (5)12月に東京日仏会館で実施されたファミリー・ビジネスに関する日仏学術シンポジウムで研究報告を行なった。 (6)共著者として『リスクマネジメント総論 改訂版』出版に参画し、リスクマネジメント総論の基礎研究を進めた。 日仏比較研究を中心とする、これら(1)~(6)の研究成果によって、老舗同族中小企業における「事業承継リスクマネジメント」モデルの作成と提案のための準備を進めた。具体的には、事業承継の各ステージ毎の(a)リスクの調査・確認チャート、(b)リスクの評価・分析図(リスク・マップ)、(c)リスク対応チャートとして次年度に実現を目指す。
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Research Products
(17 results)