2010 Fiscal Year Annual Research Report
老舗同族企業経営問題に関する日仏比較研究を通じた事業承継リスクマネジメントの提案
Project/Area Number |
21530373
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
亀井 克之 関西大学, 社会安全学部, 教授 (10268328)
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Keywords | 老舗企業 / 同族企業 / ファミリー・ビジネス / 中小企業 / 事業承継問題 / リスクマネジメント / 日仏比較研究 / 事業承継モデル |
Research Abstract |
「日本では、同族経営・ファミリー企業には、マスコミによる企業不祥事の温床としての否定的な見方が強く、一般的にも、学術研究においても、正当な扱いを受けているとは言い難い」「日本経済では同族企業が重要な位置を占め、中小企業の大多数は同族企業である」「創業100年以上の老舗企業の数で、日本は他国を凌駕している」「ファミリー企業における最大のビジネス課題が事業承継である」「老舗企業の大半を占める同族中小企業の事業承継問題は、日本では学術的研究の対象とはなってこなかったが、フランスでは、学術的研究の対象として完全に定着している」 こうした背景の下で進められている本研究は、平成22年度も、継続的な研究成果を挙げたほか、特筆すべき成果として、フランスの代表的研究者を日本に招いて「事業承継:日仏シンポジウム」を平成23年11月に開催する実施計画・共同研究計画をまとめあげ、学校法人関西大学と日仏経営学会理事会により承認された。 (1) フランスにおける中小企業研究第一人者であるモンペリエ第一大学オリビエ・トレス教授を前年に引き続き日本に招いた。事業承継者の心の問題に焦点をあてて、来日期間中の9月に共同研究を実施した。 (2) (1)の成果としてJournal of Disaster Researchと日本リスクマネジメント学会誌『危険と管理』に論文を発表した。 (3) 過去3年間継続しておこなってきた老舗企業・同族企業に関わるフランスでの現地調査や山梨県甲州ワイン生産者に対する調査の成果、その他リスクマネジメント分野における広範な研究の成果を盛り込んで『リスクマネジメントの基礎理論と事例』(関西大学出版部)を出版刊行した。 (4) 9月にスイス・サンクト・ガレン大学で開催された国際中小企業学会に出席し、京都企業に関する論文を発表すると共に諸外国の老舗・同族・中小企業分野の研究者と研究交流した。 (5) 9月と10月に大阪商工会議所・東淀川支部において、中小企業の事業承継問題をテーマとするシンポジウムの基調講演ならびにパネルディスカッションのコーディネーターを務めて、経営者ならびに実務家と意見交換した。 日仏比較研究を中心とする、これら(1)~(5)の研究成果によって、老舗同族中小企業における「事業承継リスクマネジメント」モデルの作成と提案のための準備を進めた。具体的には、事業承継の各ステージ毎の(a)リスクの調査・確認チャート、(b)リスクの評価・分析図(リスク・マップ)、(c)リスク対応チャートとして、さらにはリスク・コミュニケーション・ゲームの定番「クロスロード」の事業承継版として次年度に実現を目指す。
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Research Products
(9 results)