2010 Fiscal Year Annual Research Report
電池開発をめぐる電機メーカーの環境戦略についての研究
Project/Area Number |
21530410
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
所 伸之 日本大学, 商学部, 教授 (90237082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 充 日本大学, 商学部, 教授 (90366550)
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Keywords | 低炭素社会 / イノベーション / 脱石油 |
Research Abstract |
当該年度は本研究課題の2年目に当たり、夏期休暇と春季休暇を利用した企業へのヒアリング調査と国内外の文献サーベイを継続的に実施することを目標に掲げた。このうちヒアリング調査については平成22年3月にGSユアサ本社を訪問し、ヒアリングした際に同社のアメリカ法人を紹介してもらい、9月にGS Battery USA(アトランタ)を訪問し、アメリカ市場の動向について調査する機会に恵まれた。平成23年3月にはパナソニック、シャープ、京セラ等の企業を再度、調査する予定で準備を進めていたが、東日本大震災の影響で計画は中止せざるを得なくなった。これらの企業については平成23年度中に再調査する方向で現在、調整を行っている。一方、文献サーベイについても精力的に行った。特に欧州関連の英語文献の収集に力を入れた。太陽電池やリチウムイオン電池関連の文献は技術書から政策関連の文献まで多岐に渡って出版されており、その量は膨大である。邦語文献と合わせてその内容を整理し、理論構築の際の参考にしたいと考えているが、今少し時間が掛かりそうな状況である。 本研究課題を遂行して2年間になるが、これまでの調査を通じて見えてきたものもある。それは日本企業の技術的優位性に対する過度のこだわりとホリスティックな戦略の欠如である。技術経営の領域では、かつて半導体や液晶TV等の分野で圧倒的な技術的優位を誇った日本企業が何故、韓国や台湾、中国の企業に敗れたのか、その原因を探る分析が行われているが、電池に関しても同様な状況になる可能性がある。これまで調査した企業は例外なく、自社および日本企業の技術力の高さに自信を示し、韓国や中国の企業に対する優位性を強調していたが、そこに落とし穴が隠されてはいないか、非常に気になる所ではある。こうした問題点については、中間報告という形ですでにいくつかの学会で発表しているが、今後さらにこの問題を精査していくつもりである。
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