2010 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティビジネスの地域資源活用に関するマーケティング論的研究
Project/Area Number |
21530438
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Research Institution | Hachinohe University |
Principal Investigator |
矢野 峰生 八戸大学, 八戸大学, 教授 (70295963)
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Keywords | コミュニティビジネス / 地域ブランド論 / 商業集積 / 地域生活 / マーケティング / 環境保全 / 消費者コミュニケーション / 体験価値 |
Research Abstract |
平成22年4月以後は、地域振興に関与するアクターやコミュニティによって行われるビジネス志向型のボランタリーな協働(コミュニティ活動)に注目した考察の整理を試みた。その際に、多様なコミュニティが地域振興に関与しているため、コミュニティの類型化を図った。そして地域振興に寄与するコミュニティは、商業集積を担うコミュニティと同様に不完全な組織化によって運営されていると仮定し、組織化の程度に応じたコミュニティによる地域価値向上の活動が行われていると考えた。 人口減少地域における地域振興に寄与するコミュニティが自治体の主導で形成されてきた宮崎県綾町を選定し、現地の関係者に対して、これまでのまちづくりに関するヒアリング調査を実施した。綾町は多様な資源の活用が涙ぐましいという表現でも大袈裟に取れないほど行われてきた。そのまちづくりのストーリーは、町民生活を環境共生、健康づくりという経済的な豊かさでは捉えきれない新たな豊かさの尺度をもった地域政策で構成されている。こうしたまちづくりを支えてきたのは、地域愛の醸成に寄与する溜まり場(公民館)の活用、ビジネス手法の導入、地域価値を適切に伝える消費者コミュニケーションであった。そして近年の綾町は、町内に点在する工房を結びつけて周遊性をもたせたアート、スポーツ合宿招致のまちとして地域価値を高めようとしている。このような地域住民および消費者に対するコミュニケーションを通じた体験価値重視型の地域振興は、地域住民の健康の向上を第一に考えたコミュニティ活動による。これは地域資源を活用して体験価値を高めるアクティビティの提示、有機栽培関連の情報を販売を通じて提供した「手作りほんものセンター」による消費者コミュニケーションなど価格以外の魅力を地域体験や販売時点での情報提供を通じて伝える地域振興であった。これを分析する基本的なフレームワークは、綾町のまちづくりを参考に提示できると確信した。
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Research Products
(2 results)