2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本のリスク社会化環境における共生社会論のあり方と実践方法に関する実証的研究
Project/Area Number |
21530503
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和田 修一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30106215)
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Keywords | リスク社会の共生問題 / 高齢者生活 / ナショナリズム / 迷惑施設 / ジェンダー / 脱・家族化 / 社会的包摂 / こころの習慣 |
Research Abstract |
本年度においては意識調査『生活に関するアンケート調査』を実施した。本意識調査においては、協力拒否や無効回答の発生を避けなるべく多くの有効回答を限られた時間と予算の中で集めるために、ウェッブ調査を手掛けてきた調査会社に委託して、その保有するモニターを対象とする調査を実施した。全国規模の台帳に登録されたモニターの中から無作為に対象者を抽出し(ただし、都道府県の人口に比例して対象者数を割り振った)2,000名の回答を標本とした。調査の実施は2010年09月06日より開始されたが、2010年09月08日(水)には予定したサンプル数を超える回答を得ることができたので、その時点で回答の回収を終了した。なお、対象者の年齢は20歳代~60歳代に限定した。調査項目は40の質問より構成されているが、その内訳は「共生問題に対する意識構造に関わる質問項目」並びに「一般的な価値意識を問う質問項目」から構成されている。本調査から得られたデータの解析は現在進行中であり2012年度において継続実行される。現在までの分析結果の一端を示すならば、例えば近来特に英語圏の社会で議論されている「世代間の経済格差の実態と社会的責任分担の格差に起因する新たな階層構造」については、本調査の結果からしても「他の世代に比して高齢者のほうが恵まれている」とする対象者は、「中壮年層(40・50歳代)」では28.3%、「高年層(60歳代)」では21.6%であるが「青年層(20・30歳代)」では31.1%のものがそう感じていることが示されている。すなわち、年齢階層が若いほど、特に若い世代の中に世代間格差意識が醸成されている可能性を読み取ることができるのである。こうした共生社会形成の阻害要因が生まれる社会的要因に関してのわが国の特性に関して明らかにすべく、次年度において分析を深めていく予定である。
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