2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530509
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山口 恵子 弘前大学, 人文学部, 准教授 (40344585)
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Keywords | 貧困 / 地域移動 / 若者 / ホームレス / 非正規労働 |
Research Abstract |
本研究は、若者の地域移動と生活の不安定化・貧困化の構造について、質的調査を用いて社会学的に明らかにすることを目的としている。現代日本において社会構造が大きく変容するなかで、多くのコストとネットワークの再編を余儀なくされる大都市への地理的移動は、若者の生活にどのような影響を及ぼすのであろうか。そこにはどのような困難や乗り越えが見られるのだろうか。地域移動の背景、動機、居住形態、意識などのプロセスを詳細に捉え、若者の移動と就労・生活の不安定化について明らかにする。 本年度は、研究計画の最終年度にあたり、大きく分けて、追加の聞き取り調査とデータ分析、原稿の執筆を中心に行った。第一に、聞き取り調査については、昨年度から行っている青森県出身の派遣労働に従事してきたUターンの若者への追加調査を行った。さらに、若者の県外就職の動向を知るために、青森県内の高校の進路指導の教員への聞き取りを行った。第二に、聞き取り調査のデータ分析と原稿の執筆を行った。執筆した原稿は、共著にて今秋に出版予定である。 青森県の若者の地元志向はますます強まっているが、県内では厳しい雇用状況のため、県外の正規雇用先への就職を促されていた。しかし、就職した先でも仕事はハードであり、多くは地元に戻り、非正規労働で働く。一方、最初から派遣労働の仕事で県外へと移動した若者は、いくつかの派遣先で働いたのち地元に戻り、派遣の仕事で働く。両者ともに、仕事や生活において、青森の実家や友人のネットワークの資源がキーになっていた。若者の人口流出や労働・生活の不安定化が問題視されているが、若者の不安定労働と地域移動に注目した研究は少なく、本研究はそこに光を当てた。
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