2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530537
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森川 恭剛 University of the Ryukyus, 法文学部, 教授 (20274417)
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Keywords | ハンセン病 / 差別問題 |
Research Abstract |
2009年4月1日に「ハンセン病問題基本法」(2008年法律82号ハンセン病問題の解決の促進に関する法律)が施行され、日本のハンセン病療養所は地域社会に開放された施設として地域住民の利用に供することができるようになった。ところが具体的な利用方法については、厚生労働省設置法第16条第9項の規定による国立ハンセン病療養所の利用に関する省令(2009年厚生労働省令85号)に基づき各療養所長が作成する「指針」に委ねられているところ、この「指針」策定作業が停滞しており、ハンセン病療養所の社会化は順調に進んでいないという現状にある。 そこで本研究では沖縄愛楽園自治会の承諾の下に、園内に「ハンセン病資料館準備室」を設置し、ここを研究拠点として同園の社会化に関する取り組みを行うことにした。本年度は第1に、同園自治会と共同連携して沖縄県内の5か所の博物館・資料館を見学し、同園内に設置予定の「社会交流会館(ハンセン病資料館)」の設置理念・目的・規模・運営形態などについて概要を整理した。第2に、ハンセン病問題ネットワーク沖縄(市民運動団体)と協力連携して一般市民を対象とする園内ボランティアガイド養成セミナーを開催した。第3に、同園退所者でありまた園内ボランティアガイドでもあるT氏のガイド実践を記録し、当事者によるガイド実践の意義を多面的に分析検討した。 また療養所の社会化の目的が入所者の被害回復にあることから、その構想策定のためには現在の沖縄愛楽園入所者の「気持ち」を理解する必要があり、そのために同園におけるキリスト教の影響を検討しなければならないが、本年度はその基礎作業としてヨーロッパ中世のハンセン病について社会史的な考察を行った。
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Research Products
(2 results)